自由貿易圏構想「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」は15日に署名が行われた。複数の専門家が述べたところによると、中国とASEAN諸国は署名をチャンスとし、海南自由貿易港の開放政策をよりどころとして、「環南中国海経済協力圏」構想の実現に向けて加速していくべきだという。中国新聞社が伝えた。
中国南中国海研究院の呉士存院長はさきに行われた第86回中国改革国際フォーラムで、「中国とASEAN諸国はRCEPの署名と中国-ASEAN自由貿易協定(FTA)の『バージョンアップ』がもたらすチャンスを結びつけ、南中国海の海上協力と海洋ガバナンスを媒体として、東南アジア地域諸国との経済貿易、産業、文化、海洋ガバナンス分野の協力プラットフォームを共同で構築し、東南アジア諸国との間の資金や技術などの生産要素の国境を越えた流動・協力を促進するべきだ」と指摘した。
呉氏は、「海南省は中国のASEANへの最前線であり、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市圏)とは瓊州海峡を隔てて目と鼻の先にあり、粤港澳大湾区からASEANに至るラインの中間に位置する。海南自由貿易港は『粤港澳大湾区に融合し、東南アジアに向かう』を方向性とし、ASEANとの経済、社会、人的・文化的分野における協力を全方位的に開放しマッチングするべきだ」との見方を示した。
13日に行われた海南自由貿易港と東南アジア地域協力国際フォーラムでは、複数の専門家が海南とASEANとの協力について提言を行った。
郭氏集団及び嘉里物流聯網有限公司のシニア顧問を務める楊栄文氏は、「南中国海は海南省とASEAN諸国との運命共同体そのものだ。海南省は海洋・海港のもつ優位性を利用して、多層的な役割を担い、双方がより利益の多い未来を獲得できるようにすることができる」と述べた。
インドネシア戦略・国際研究センター経済部のジョセ・ダミュリ部長は、「海南省はより高いレベルの地域貿易投資協力を推進する中でその役割を発揮できる。1つ目はASEANとの相互接続を強化し、地域的なより強靱性の高いサプライチェーンを構築することだ。2つ目は情報ネットワークの構築、人的資源の発展などの面で協力を強化することだ」と述べた。
中国(海南)改革発展研究院の遅福林院長は、「海南自由貿易港とASEANとの協力範囲は広く、海洋観光、教育・文化、デジタル経済などの分野に及ぶ」と述べた。
ダミュリ氏はまた、「海南省は中国がASEANに進出する時の支点となり、ポストコロナ時代にASEAN諸国の経済回復を推進することができる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年11月16日