感染症で一人一人に合った外食ニーズ急増 少量や一人席など

人民網日本語版 2020年12月30日13:41

「外食産業青書:中国外食産業発展報告(2020)」がこのほど雲南省昆明市にある昆明学院で発表された。「中国青年報」が伝えた。

デリバリープラットフォームが織り上げたセーフティネット

今年2月、武漢市の宅配便配達員が、「自分が荷物を届けている間は、この都市は生きている」と話した。

新型コロナウイルス感染症が流行してから、各都市の宅配便配達員は大勢の人にとって「最も身近な他人」になり、人々の暮らしに欠かせない「コミュニティ随一の調達者」になった。

同報告によれば、2019年にレストランの実店舗が急速にオンライン化し、オンライン店舗が実店舗のサービスの範囲を拡大し、消費の時間を長くし、オンラインデリバリー業務の急速な発展を推進した。19年のオンラインデリバリー取引額は6千億元(1元は約15.9円)を超え、増加率は30%を超え、外食産業の平均増加率をはるかに上回った。オンラインデリバリーのユーザーは4億2千万人を超え、実店舗の重要な利益成長源になった。

同報告は次のように指摘した。20年の春節(旧正月、1月25日)以来、「みんな家にいてクラウドで買い物をする状況」がビジネス・小売と生活サービスの新業態を促し、「すべてのモノを配達可能に」する地元密着のスピード配送ネットワークが、消費スタイルの転換に保障を提供した。オンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」のデータをみると、感染症の期間中に、供給能力のある外食企業のデリバリー売上高が総売上高の60-70%を占め、普段の5-6倍になった。Elemeと生鮮スーパーの盒馬鮮生のオンライン受注額はそれぞれ前年同期比200%以上増加した。

同報告によると、オンラインで買い物をした人のうち、95後(1995年から1999年生まれ)はミルクティのデリバリー、夜食消費の中心になった。80後(1980年代生まれ)は主にオンラインスーパーを利用して、日用品を購入した。50歳以上の中高年世代は注文量と購入頻度が目に見えて上昇した。

外食産業の変革が新たな流れに直面

オンラインの飲食消費の伸びはオフラインの外食産業の苦境を反映している。

同報告によると、外食産業の順調な成長ペースは全国的な公衆衛生・安全上の緊急事態が起こる中で急速に押さえ込まれてしまった。例年であれば外食産業は春節の繁忙期を迎えるはずだったが感染症がそれを押し流してしまい、多くの外食企業が正常な経営を行えなくなり、持ちこたえるだけの資本を備えていないところもたくさんあった。調査会社の天眼査の提供した情報では、5月25日現在、20年に営業許可証が取り消し・無効になった外食産業の企業は15万社を超えた。また外食産業全体が非常に大きな打撃を受け、これには食材の栽培・養殖、調味料類の生産、食品加工などのサプライチェーン市場、及び外食産業と関連するサービス市場や設備製造市場が含まれていた。

同報告によると、20年第1四半期(1-3月)の全国の外食産業売上高は6026億3千万元で、同44.3%減少した。3月には感染症が効果的に抑制されたが、外食産業の売上減少ペースはさらに拡大して46.8%になり、1月と2月を超えた。同報告は、「世界で感染症の状況がさらに悪化し、中国国内では消費がうまく喚起されないという状況の中、2020年の外食産業の増加率は歴史的な『冷え込み』を経験することになるだろう」と予測した。

外食産業に「リベンジ的消費」現象がみられないことについて、中国社会科学評価研究院の荊林波院長は、「外食消費は他の消費と異なり、誰しも自身の消化能力に制約される。特に健康な食生活への関心が高まり、暴飲暴食の現象がどんどん減る中で、即時性が高い、保存が利かない、消費が個人所得の持続的な増加に依存するといった外食消費の特徴により、外食の爆発的増加の実現の難しさが決定づけられた。同時に、常態化した感染症対策が外食消費にも影響している。たとえば『分餐制』(取り分け制)、取り分けスプーン・取り分け箸の利用推進などは、食事を取る消費者とレストラン経営者にとっては挑戦になる。また数ヶ月に及ぶ『おうち経済』を経験して、『在宅のメリット』に適応し、楽しむようになった人がいて、オンライン消費の習慣が根付き、オンライン消費ニーズがますます多様化していった」と述べた。

同報告はこうした現象について、「感染症が一人一人に合った外食ニーズを急増させ、外食産業の変革は新たな流れに直面することになった。感染症の流行により消費者の食事をする環境、メニューの品質、デリバリー配達、サービススタイルなどで新たなニーズが生まれた。たとえばシングル人口が徐々に増加して生まれた『一人ご飯経済』は、感染症の中でさらなるイノベーションを遂げ、『一人1テーブル』、『1メートル間隔』、『独立した一人席』などのスタイルでの飲食サービスが次々に登場した。外食産業は手早く食べられるか、メニューを柔軟に組み立てられるかが常に試されており、これから『小規模店舗』、『少量のメニュー』、『少量のセット』、『一人席』や、その他の新型外食サービススタイルが次々登場するだろう。生存と発展のために、外食企業は経済デジタル化の流れに迅速に対応しなければならなくなった。特に食材の供給源、生産方式、外食のネットワーク配置、業態・ビジネスモデルの4分野で、外食産業は大きな変革を遂げるだろう」と指摘した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年12月30日

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