史上最大規模のワクチン接種が現在、中国で展開されている。今月11日の時点で、中国全土の新型コロナウイルスワクチンの接種回数が累計で1億6734万3000回に達した。環球時報が報じた。
2020年3月16日、世界で1本目となる新型コロナウイルスワクチンが武漢で接種された。当時、中国軍事科学院の陳薇院士率いるチームと康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)が共同で研究開発した組換え新型コロナウイルスワクチン(Ad5-nCoV)が世界で初めて第1相臨床試験の認可を得て、モニター108人が接種を受けた。これらボランティアたちはネットユーザーから、「パイオニア」や「勇士」と呼ばれた。
深刻な副反応生じたモニターはゼロ
それから1年が経ち、モニター数人がこのほど取材に応じた。
取材当日、武漢大学に勤務している任超さんは江蘇省無錫市で開催されるマラソン大会に参加する準備をしていた。任さんがモニターとなった後、マラソン大会に参加するのは今回が初めてではない。「昨年11月にも上海に行ってマラソン大会に参加した。ちょうど浦東区で新型コロナウイルスの国内症例が発生している時で、予約していた往復の航空チケットは浦東空港を利用する便だった。同じ飛行機に乗っていた他の乗客は少し緊張していたかもしれないけど、僕はその時、新型コロナウイルスを恐れていなかった。なぜなら、ワクチンをすでに接種していたし、抗体があるとはっきり分かっていたから」と振り返る任さん。その当時、中国では、条件付きで販売認可を受けた新型コロナウイルスワクチンはまだなく、一部のハイリスクグループのみを対象として緊急接種が行われているに過ぎなかった。
2020年9月に抗体強化のため再度ワクチン接種を受ける任超さん(写真提供・任超さん)。
昨年3月末にワクチン接種を受けて以来、任さんを含むモニター108人は半年間にわたる健康モニタリングを受けた。その期間中に、血液検査を8回受け、体内の新型コロナウイルスに対する抗体の量を検査した。健康モニタリング機関のある職員は取材に対して、昨年9月にモニタリングが行われた時点で、深刻な副反応が起きたモニターは一人もいなかったと説明した。
同じくモニターとなった朱傲氷さんは昨年3月19日にAd5-nCoVの接種を受けた。退役軍人で、現在は武漢のある高等教育機関に通っている朱さんは、「ワクチン接種による健康への影響は全くない」と話し、「ワクチンは安全」と力強く語る。そして、「学校生活は充実しており、ジョギングや卓球などの運動も続けているし、合唱団や芸術団にも参加している」と話す。
2020年3月、ワクチン接種を受ける朱傲氷さん(写真提供・朱傲氷さん)。
陳薇院士率いるチームが昨年5月と7月にそれぞれ発表したワクチンの第1相と第2相の臨床試験結果によると、Ad5-nCoVは安全性に優れている。第1相の臨床試験に参加したモニター108人のうち、接種後7日以内に起きた最も多い副反応は、発熱、疲労感、頭痛、筋肉痛などだった。また、接種後28日以内に深刻な副反応が起きたという報告はなかった。
昨年9月、第1相の臨床試験に参加したモニターのほとんどが抗体を強化するために再度ワクチンを接種した。康希諾生物が最近公開した情報によると、半年後に再度ワクチンを接種することで、抗体が10倍以上に上昇することが分かっている。
今年2月25日、アAd5-nCoVワクチンの販売が条件付きで認可された。これは、第3相の臨床試験が終了し、中国の医薬品監督管理当局が、同ワクチンの安全性と有効性を確認したことを意味している。同ワクチンは、メキシコやパキスタンなどでも緊急使用の認可を得ている。