ボアオアジアフォーラムの周小川副理事長は20日にオンラインで「アジアの未来」年次総会に出席した際、「デジタル人民元の開発計画は人民元国際化と過度に関連づけてはいけない。小売項目と経常項目での効率向上をより重視すべきだ」と述べた。中国新聞社が伝えた。
2019年末までに、デジタル人民元は深セン、蘇州、雄安新区、成都、将来の北京冬季五輪・パラリンピック会場で相次いでテストをスタートし、20年10月にはテストエリアに上海、海南、長沙、西安、青島、大連の6ヶ所も加わった。
周氏は、「中国の視点から見ると、目下の(デジタル人民元開発の)ニーズと緊急性はやはり主に小売分野にあると思われる。デジタル人民元の開発テスト計画はこれまでに得られた進展を基礎としつつ、さらなる高度化・バージョンアップを遂げる必要性がある。これは主に小売システムにおける性能向上の必要性を指しており、ここには運営効率、技術効率、コスト引き下げ、セキュリティ向上、プライバシーの一層の保護、アンチマネーロンダリングへの対応など各方面の性能に関する要求が含まれる」と述べた。
同時に、消費者はこれまでの多様な小売決済方法をスマートフォンプラットフォームに移して使い続けたいと考え、さまざまな小売決済方法があることで汎用性が高まることを望んでいる。
周氏は、「もしも中国国内の小売分野でのデジタル人民元技術が更新されて目に見える効果を上げられれば、国境を越えた経常項目の小口決済にとってもメリットがあり、人民元国際化にもある程度の寄与をすることになる。しかしこれは準備通貨としての意義ではなく、金融市場という大口取引の概念における人民元国際化でもない」との見方を示した。
周氏はさらに踏み込んで、「人民元国際化はより総合的な議題であり、より深い変化を必要としており、人民元利用の自由度をより目に見える形で高めてはじめて、人民元が将来的に国際通貨になる可能性を高めることができる。これは国際市場の利用者が(人民元を)どれくらい受け入れるか、現行の国際通貨システムをどれくらい理解しているかによって決まることでもある」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年5月21日