米金融緩和政策で「泣きっ面に蜂」の日本経済

人民網日本語版 2021年05月25日14:36

バイデン大統領が就任して以来、米国は金融緩和政策を続け、世界に非常に大きな打撃を与えている。日本は巨額の米国債を外貨準備として保有しており、世界一の米国の債権国であり、この影響を免れることは難しい。「光明日報」が伝えた。

日本経済新聞社と日本経済研究センター(JCER)の試算によると、2020年10月から12月の均衡為替レートは1ドル=94円だったのに対し、19年10月-12月は110円だった。日本円に交換する視点から、16円のドル安になる。均衡為替レートとは、各国の政府の債務額と経常項目の収支の状況を踏まえて算出されるもので、一般的には、負債が多く、経常収支赤字が多い国の通貨は評価額が相対的に低くなる。日本メディアの報道によると、低迷する自国経済を支えるため、米政府は巨額の財政活性化措置を執ることにより、政府債務はさらに膨らんだ。米国の個人消費は急速に回復しており、輸入の増加に伴って、貿易赤字も増加する可能性がある。理論的には、ドル安トレンドは今後も続く可能性がある。

しかし興味深いことに、外国為替市場では、米ドルの対日本円の実質レートが上昇を続けている。20年末のレートは1ドル=103円だったが、今年3月末は111円に迫った。米ドルは過去約1年間で最高値となり、さらに上昇する勢いを保つ。日本メディアは、「その原因は(新型コロナウイルスの)ワクチン接種が進展していることを背景に、市場には米国経済が急速に回復するとの見方が広がり、そのため米ドルが絶えず買われていることだ」との見方を示した。しかし政府債務が膨張し続ける米国経済の実際の状況を見ると、理論上のレートには米ドルの価値の低下傾向が現れている。

日本の経済界では、「一方で、米ドルの現在の上昇傾向が長く続けば、米ドル建て債務を保有する一部の新興市場国の債務返済の負担がますます重くなり、債務悪化の不安を容易に引き起こし、世界経済のリスクポイントにもなりやすい。他方で、米政府からの支援資金などのバックアップを受けた経済回復がいつまで続くかは、まだはっきりしない。もしも経済の好調な状況が続かなければ、市場は米ドルの実力を疑問視するようになる可能性が高い。もしも米ドルが理論値に接近する形で下落に向かえば、世界経済を揺るがす導火線になる可能性がある。米ドル下落と物価上昇は連動しており、持続的緩和を前提とした金融市場に動揺が起こるリスクが存在する」との見方が出ている。

こうした背景の中で、日本経済は第1四半期(1-3月)に再び縮小し、復興の流れが中断した。日本の内閣府が今月18日に発表した速報値の統計結果によると、感染症拡大の影響で、同期の日本の実質国内総生産(GDP)は前期比1.3ポイント低下し、年率換算でマイナス5.1%になった。同期には日本の3大経済圏で相次いで緊急事態宣言が発動されたため、日本経済の半分以上を占める個人消費が前期比1.4%減少し、内需のもう1本の柱である設備投資も、前期の回復傾向から減少に転じ、減少幅は1.4%だった。

実際、日本はこれまでずっと関連措置を執って国際的なリスクを回避してきた。日本銀行(中央銀行)が3月中旬に発表した超金融緩和政策に関する総合評価では、現在の緩和レベルを今後も維持するとともに、関連政策を調整して超金融緩和政策の弾力性と持続可能性を増大させるとしていた。また日銀は「貸出促進付利制度」も打ち出し、金融機関が日銀に預けた当座預金に対し、短期政策金利と連動した一定の奨励としての付利を行ない、急激な円高など必要な状況が出現すれば迅速に金利を下げられるようにした。

このほか、日本の参議院本会議は4月28日に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を承認した。衆議院本会議でも先に承認されているため、日本はRCEP承認の国内プロセスを完了した。日本にとって、中国は1番目、韓国は3番目の貿易パートナーであり、RCEPをできるだけ早く承認・施行すれば、中日韓3ヶ国が同じ自由貿易の枠組みに入ることになり、日本の輸出推進と経済回復推進にとって現実的な意義がある。これまでの日本政府の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に関する試算と比べると、日本メディアの評価では、「米国が抜けたCPTPPは日本のGDPを押し上げる効果は1.5%しかなく、約7兆8千億円の経済成長をもたらすに過ぎない。それに比べて、RCEPの日本経済に対するメリットや効果はCPTPPを遙かに上回る」という。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年5月25日

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