イタリアのサン・マルコ大聖堂には、「マルコポーロの壺」と呼ばれる磁器がある。それは、約700年前に世界各地を旅したマルコポーロが中国の福建省泉州市からイタリアに持ち帰ったもので、同市徳化県で製作された磁器だ。
一方は西洋人、一方は東洋の都市。そして一方は世界を見て歩いた旅行家、一方は世界中の商人が集まる国際港。この二つを何が結びつけたのだろうか。
中国大陸の南東部に位置し、山に囲まれ、海に面している泉州の人々はその昔から海で生計を立てて暮らしていた。
約700年前、賢い泉州の人々は、馬車で港にやって来て、威勢の良い掛け声を上げて外国人を相手に商売をし、泉州は一気にアレクサンドリアと並ぶ東洋最大の港町となった。
マルコポーロはその旅行記に、「泉州の磁器は質が良く、その値段は安い。ヴェネツィア銀のコイン1枚で、磁器のコップを8個買える」と記しており、磁器のほか、茶葉や絹織物、銅・鉄製品など、泉州の至る所には海外に売られている商品があり、「メイド・イン・チャイナ」が世界の流行を牽引していた。
一方、海外から泉州に向かう商船には、香料や薬材、装飾品、布などといった商品が積み込まれ、それら「輸入品」が中国の人々の生活の質を大きく向上させた。
マルコポーロは、インドから欧州へとコショウを運ぶ船が1隻だとすると、泉州に運ぶ船は100隻になるだろうと分析していた。
磁器から茶葉、そして、香料から食品に至るまで、波の音と共に泉州にやって来た各国の商人たちは、「zayton(刺桐、泉州の旧称)」という言葉を聞くと、お金の音が聞こえてくると感じるほどだったという。
今月25日、「泉州 : 宋朝・元朝における世界のエンポリウム 中国」が世界遺産として登録された。これで中国の世界遺産は計56件となった。
その昔、世界各地から来た人々が、「泉州」というグローバル大都市を共に建設した。この先、世界遺産となったこの都市は、さらに色鮮やかに飾られ世界の遺産として輝き続けることだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年7月29日