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インターネットが急速に発展する情報化時代の中、これまでにない新しい資源の生産・配置方法によって高齢者層により質の高い商品とサービスを提供できる可能性が出てきた。技術を把握することは基本的な生活の技能を把握することを意味し、高齢化社会の情報バリアフリー建設の積極的な推進の意義は深く大きく、社会各方面は力を合わせて高齢者向けのスマート技術の運用をサポートする必要がある。中国新聞網が伝えた。
「高齢者をサポートしてデジタルデバイドを乗り越え、デジタル包摂社会をともに建設する」をテーマとしたシンポジウムがこのほど北京で行われ、政産学研の来賓、大学教授、企業代表らがそれぞれの意見を発表し、「包摂、平等、エンパワーメント」が最も頻出する3つのキーワードになった。
中国人民大学の副学長で高齢者学研究所の杜鵬所長は、「中国がデジタル包摂の高齢社会を構築することは国連の『年齢にかかわらずすべての人がデジタルを平等に享受する』とのイニシアティブと期せずして一致する。現在の高齢者はデジタル技術を前にした時に自主性に欠け、デバイスの獲得、ネットワークの接続などをめぐりバリアが存在する。また関係当局は情報の保護、プライバシーのセキュリティに関する法律法規を整備し、高齢者層のネット使用における懸念を解消するべきだ」と述べた。
杜氏によると、デジタル技術は社会参加体験を向上させる重要な手段であり、「デジタルデバイド」を主体的に「デジタルスプリングボード(飛び板)」に転換させ、高齢化の挑戦に積極的に対処する必要がある。「私たちは高齢者がデジタル技術を把握するようサポートし、デジタル時代の『新たな非識字者の一層』を展開するべきだ」。
杜氏は、「『シルバー経済』は旅行予約業界にチャンスをもたらすだろう。現在、旅行を予約する人のうち、60歳以上の高齢者は1632万人に達している。高齢化に合わせたサービスが旅行の質を高めると同時に、旅行予約業界にも新たな発展チャンスをもたらすことになる。このほか、医療・介護・ヘルスケアサービスはオンライン診療分野の新たな注目点になり、インターネットプラットフォームが大いに活躍することが期待される」と述べた。
中国人口学会の会長を務める中国人民大学人口・発展研究センターの翟振武センター長は、「デジタル技術の把握は高齢者が社会参加するときの新たな手段になった。デジタル技術は高齢化に積極的に対処するための重点の1つであり、人々は高齢になっても、一連の活動を通じて社会に生産性のある貢献をすることが可能になる」と述べた。
南開大学経済学院の教授で同大高齢発展戦略研究センターの原新センター長は、「『デジタルデバイド』はどうしても避けられない。デジタル社会には高齢者を包摂し理解することが必要であり、将来のデジタル製品・サービスはさまざまなものを包摂し、さまざまなスタイルが共存するものでなければならない」との見方を示した。
高齢化に積極的に対処し、バリアフリー環境の建設を推進するため、業界も一連の行動に取り組んでいる。シンポでは、参加した企業の代表が高齢者向けに開発した最新の成果を披露した。
微信支付(WeChatペイメント)の製品ディレクターの呉亮氏の説明によると、微信はすでに「高齢者向けモデル」や「高齢者安心専用ライン」などさまざまなサービスを打ち出しており、顧客サービススタッフは長時間の研修を積んだうえ、複数地域の方言にも対応できるという。
京東アプリの高齢者向けボードの責任者の李卓氏は、「当社は『フォント、フォントサイズ、色、行間、コントラスト、マーク』などのインターフェース体験をバージョンアップしただけでなく、販売前、販売中、販売後の全チェーン・ルートにわたり高齢化に合わせた機能強化をはかった」と述べた。
高齢者が不安なく安心してデジタル化の列車に乗り、インターネット時代のスマートさや高効率の恩恵を享受してはじめて、社会全体の幸福指数を高めることができることは間違いないだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年10月13日