今年の政府活動報告の中で、「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)」のある企業の育成に力を入れ、資金、人材、インキュベートプラットフォームの構築などに力を入れて支援することが提起された。こうした「専精特新」の特徴を備えた中小企業は、中国製造(メイド・イン・チャイナ)のモデル転換・高度化をどのようにサポートしているだろうか。中国中央テレビ局のビジネスチャンネルが伝えた。
高水準の工法を達成するには、まずよくできた道具がなければならない。現代の製造業では、自動車や航空機などの分野の各種重要部品の精密加工に、人工ダイヤモンドをはじめとする硬度の高い材料を合成して作られた超硬カッターが欠かせない。
河南省鄭州市にある鄭州市鉆石精密製造有限公司の工場では、このような超硬カッターが専門的に製造されている。硬度と精度はどれくらい高いのだろうか。
テスト現場の様子を眺めると、作業員が前後して異なるカッターを使って焼き入れ鋼の加工をしている。焼き入れ鋼の硬度は普通の鋼の2倍から3倍に達し、加工の難度は極めて高い。加工プロセスで一般的な硬質合金のカッターを使って作業をすると、手間がかかりすぎる上に、できあがった後の表面もざらざらしている。一方で、この超硬カッターを使えば、鋭利なカッティングが可能で、できあがった後の表面はつるつるになる。
超硬カッターは硬度だけでなく、精度も極めて高い。表面がざらざらしたアルミニウム板を超硬カッターでフライス加工すると、鏡のように人の姿が映るほどなめらかでつるつるになる。同社のさまざまな超硬カッターの中でも、先端が球状になった「PCBNエンドミルフライスカッター」は特に競争力の強い製品だ。主に自動車の重要部品である継手の精密加工に利用され、カッターヘッドは親指ほどの大きさしかないが、複雑な構造と技術を備えている。
今から10年ほど前、同社の張海斌最高技術責任者とそのチームがこのカッターの開発をスタートした当初は、非常に大きな課題に直面していた。従来のカッターのエンドミルの大半は10マイクロメートル(μm)前後の精度だったが、このカッターは3μm以内にまで精度を高めなければならず、ちょっとした誤差だけで達成できなかった。100回に上るテストを繰り返して開発にこぎ着け、その後も改良とバージョンアップを続けている。1年以上前に打ち出した最新世代の製品は精度が2μmに下がり、A4普通紙の厚みの50分の1しかない。
張さんは、「エンドミルはでこぼこのない球だ。5年かけて1μmの精度を上げた。これまでこういうカッターはすべて輸入頼みだったが、今では川下の顧客で中国の国産カッターを使うようになったところが増えている」と話した。
現在、同社は毎年の売上高の10%前後を技術開発に充て、新たに生じた難問を絶えず克服し、各種カッター製品のラインナップは5千種類に迫る。超硬カッターの技術でブレークスルーを達成して、産業チェーンを制約していたボトルネックを着実に解消した功績により、国家第3弾製造業個別項目チャンピオンに選ばれた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年3月11日