雪と氷の世界の南極で新鮮な野菜を食べたければどうすればいいだろうか。その答えは、中国の南極基地に行くだけでいい。
2014年までは、新鮮な野菜の供給は、中国の南極科学観測隊を苦しめる大問題だった。南極が長い冬に入ると、科学観測隊員は白菜など数種類の野菜のみで越冬しなければならなかった。南極に野菜がなければどうするか?自分で植えれば良い。第31次国家南極科学観測任務に参加した医師の王征氏は、南極で野菜を栽培するという大事業に取り組んだ。
■無土壌栽培、パソコンによる制御で自動灌漑
「朝起きると野菜温室実験室に行き、自動制御システムが正常か、地面に漏水がないかをチェックする。朝食後は野菜を収穫し台所に届ける。午前と午後に、交換する必要のある野菜がないかをチェックし、状況を見て新たな種をまく」。これは王氏の南極中山基地における野菜栽培の日記だ。
当時の野菜温室実験室は16平方メートルの部屋だった。温室全体で無土壌栽培技術を採用。野菜栽培自動制御システムが灌漑ポンプ、温度・湿度、栽培照明、栄養液などを自動制御する。
パソコンの制御により、LED植物生育照明は野菜の成長状況に基づき、照明の時間の長さを自動的に調節できる。自動灌漑システムは1時間毎に水槽に栄養液を注入する。部屋の湿度が70%を下回ると、加湿システムが部屋にミストを噴射する。野菜の成長を促進するため、野菜温室実験室では毎日24時間連続で軽音楽を流している!
■野菜栽培が中国基地の医師の「副業」に
唐銘駿氏は中国第33次国家南極科学観測隊の随行医師だ。
唐氏は南極で、土日になるとライブ配信を行っている。ライブ配信プラットフォームでは、野菜を栽培できる南極の医師と自ら名乗っている。
第36次南極科学観測越冬医療保健任務を終えたばかりの医師の胡淼氏は栄養学の視点から、南極野菜栽培技術の多角的な研究を展開した。
胡氏は、日差しの強い紫外線が野菜の成長を妨げ、人工光源の方がより植物の生長に適していることを発見した。
さらに重要なことに、胡氏は南極のオゾンホールによる日差しの過度な紫外線が、植物成長に不利であることを大まかに突き止めた。
胡氏は、換気、湿度、温度、人工光源などの調節により、各種野菜の生産量を増やした。1年以上にわたり、葉物野菜を323キログラム、果菜類を117キログラム収穫した。隊員の新鮮な果物・野菜による栄養摂取の需要を満たし、人が毎日必要とするビタミンB群とビタミンCをほぼ確保した。
胡氏が南極医療サポートを担当する間、隊員の口内炎や脚気、傷口から流血が止まらないといったビタミン不足による症状は集団的に見られなかった。
胡氏は誇らしげに、「人工栽培技術により人類は南極で長期的に健康的に暮らせる」と語った。
長城基地越冬医師の趙君勇氏は、無土壌栽培技術により毎日1キログラム以上の新鮮な果物・野菜を収穫できると述べた。
これは多くの海外の科学観測隊員から羨まれた。感染症の発生前、彼らがよくご馳走になろうと基地を訪れていた。
野菜栽培は中国人の天賦の才と呼ばれるが、実はこれは中華民族の勤勉さと果敢さ、自力更生、刻苦奮闘の精神から授かったものだ。
国内でも国外でも、天上でも地下でも、この精神さえあればどこでも野菜を栽培できる。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年3月16日