中国は今、「金の3月、銀の4月」と呼ばれる春の就職シーズンを迎えている。データを見ると、就職の中心を担う「95後(1995年から1999年生まれ)」は、職業を選択する時に「インターネット」関連分野を非常に好み、この分野に集まる傾向があることがわかる。中でもショート動画制作、ライブコマースなどを選ぶ若者が多い。若者は何を重視しているのだろうか。
ショート動画人気が新職業の誕生を促し、「95後」の選択肢がより多様に
北京のショート動画コンテンツ制作会社の責任者を務める丁俊雲さんは、4年前にそれまで勤めていた会社を辞め、起業してこの業界に飛び込んだ。当時は映画・テレビを専攻した大卒者はそれほどいなかった。ここ数年で強く感じるのは、ますます多くの若者がこの業界に入ってくるようになったことだという。
丁さんは、「ほぼ毎日、シナリオライターや監督になりたい人から10数件、20数件ほどの履歴書が送られてきて、テストをすることになる。優れた演出家なら年収は80万元(1元は約18.5円)から100万元になり、新人でもそれなりのレベルの仕事をすれば、月収は1万元は下らない」と話した。
シナリオライターと監督だけでなく、演技について専門的に学んだ人もこの業界に身を置くようになった。ショート動画俳優の陳秋平さんは、「ショート動画はチャンスがとても多いし、収入もかなりいい。今は映画を撮影するという時に、端役でも千人以上、時には1万人以上の応募者があって、役がもらえるとは限らない」と話した。
若者はフレキシブルワークを志向 大きな魅力を持つデジタル文化産業
中国の「第14次五カ年計画デジタル経済発展計画」は、個人によるSNSソフトウェア、ナレッジ・シェアリング、音楽・動画サイトなどの新型プラットフォームを利用した就職や起業を奨励するとの方針を明確に打ち出し、政策による支援が行われ、市場がますます成熟して、より多くの若者がフレキシブルワークを選び、自分自身の価値を明確に表現するようになった。
陳蘇婭さんは大学院の修士課程でドキュメンタリーを専攻し、学生時代は動画プラットフォームで自分の日常生活を伝え、かなりの数のフォロワーを獲得した。卒業後はプロの「動画クリエイター」になる道を選んだ。
こうした大学・大学院を卒業した人々が、今ではフレキシブルワークの中心を担っている。2020年と2021年の全国の大卒者でフレキシブルワークを選んだ人の割合は16%を超えた。
中国就業研究所の曽湘泉所長は、「デジタル文化産業には、ライブ配信、ゲーム、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)が含まれ、そして文学のプラットフォームもあり、さらに音楽、アニメ、アートのプラットフォームもあり、こうした分野が多くの新たな雇用ポジションを生み出した。大学生は優れた教育を受けた人たちが多く、従来型の生活サービス業は希望しないかもしれないが、現代型のデジタル文化産業を希望している。このこともデジタル文化産業の雇用を拡大した一因だ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年3月14日