1600度に熱して溶けた鉄が花のように舞い落ちる「打樹花」が海外で話題に

人民網日本語版 2022年03月23日16:41

北京2022年冬季五輪開会式で、火花が空一面に舞い散るパフォーマンスが披露され、世界の人々を魅了した。そのダイナミックなパフォーマンスは河北省蔚県の無形文化遺産「打樹花」で、500年以上の歴史を誇り、「勇者のゲーム」と呼ばれている。羊の革の服を着て、頭には笠をかぶったパフォーマーは、特殊な木製のひしゃくで、1600度の溶けた鉄の液をすくい上げ、勢いよく城壁にぶちまける。すると高温の溶けた鉄が冷たい城壁にぶつかって、瞬時に火花となって舞い降り、固まった鉄が小さな粒となって、地面にぶつかり、パラパラと音を立てる。中国日報網が報じた。

河北省張家口市蔚県で鍛冶屋をして生計を立てる王徳さん(58)は、「打樹花」の伝承人でもある。「樹花」を夜空に「咲かせる」ためには、鉄を1600度まで熱しなければならない。それをひしゃくですくい、勢いよく冷たい城壁にぶつけると、火花が舞い落ちるというわけだ。春節(旧正月)になると、王さんは他の職人と共に、風習に基づいて、村民や観光客を前に、「打樹花」のパフォーマンスを十数回行う。

北京で2022年冬季五輪が開催されることが決まり、張家口も世界からの脚光を浴びるようになった。そして、民間アーティストらは、「打樹花」を復興させて、一人でも多くの観光客を呼び込むことができればと考えるようになった。

「打樹花」は、伝統行事の一つだ。花火というと、昔は裕福な人しか買うことができず、鍛冶屋は花火の代わりに「打樹花」をするようになった。

地元メディアの報道によると、現在この技をマスターしている職人はわずか4人で、そのうちの3人はすでに中年、または高齢になっている。「打樹花」は高温の石炭や溶けた鉄を扱うため、怪我をする危険が伴うからだ。

英国放送協会(BBC)が2016年に製作したドキュメンタリー「Chinese New Year: The Biggest Celebration on Earth(中国の春節:世界最大の行事)」では、「溶けた鉄の破片が空高く舞うというのは、葉が多い茂る木に咲く花の花びらのような圧巻の景色」と紹介された。「打樹花」のパフォーマンスで、王さんは羊革の服を裏返しに着て、頭には笠をかぶって壁際に立ち、1600度に熱され溶けた鉄の液をひしゃくですくい上げ、それを冷たい城壁にぶつける。すると、火花が瞬時に空高く舞い散る火花と化す。

王さんが1度の「打樹花」で使う鉄約300キロは、鉄くず買取業者から買い取ったものだという。

王さんは、「羊革の服を裏返しに着るのは、羊の毛は着火しにくく、火花が当たったとしても、すぐに消えるから」と話す。また、かぶっている特製の笠はつばが大きく下に向いている。そこに火花が落ちても転がって落ち、着火することがないように工夫されているのだという。このような危険を伴うパフォーマンスはまさに「勇者のゲーム」だ。

数年前のあるパフォーマンスで、王さんは足に大やけどを負い、完治するのに2ヶ月かかったという。

河北省の無形文化遺産である「打樹花」は、暖泉鎮でしか見ることができない。暖泉鎮は明(1368‐1644年)の時代に軍隊の駐屯地として造られた場所だ。その後、暖泉鎮は兵器を作る拠点となり、鍛冶屋が非常に盛んになった。

鍛冶職人は、製鉄する時に散る火花を見てインスピレーションを得、溶かした鉄を古城の壁にぶつけて、春節を祝うようになったという。

王さんの父親や祖父も鍛冶職人だったといい、「十代の時に父親から鍛冶を学んだ。若い時は、とても刺激的だと思っていた。でも、今は『打樹花』の伝承人となり、この技をいかに伝承していくかというのが、私の責任となっている。息子が2人いるので、下の息子にこの技術を教えている。息子には絶対に受け継いでもらう必要がある。そうでなければこの技が途絶えてしまうからだ」と話す。

今ではこの圧巻のパフォーマンスを一目見ようと、多くの観光客が暖泉鎮に訪れるようになっている。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年3月23日

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