最近、ネットでこんな言い方をよく目にする。「若いうちはひたすらドーパミンを追いかけ、中年になってようやくエンドルフィンが一番いいとわかるようになる」。「ドーパミン重視から抜け出して、エンドルフィンを重視する」べきだとする文章もある。ドーパミンとエンドルフィンとは、一体何だろうか。「揚子晩報」が伝えた。
ドーパミンとエンドルフィンとは何か
東南大学付属中大病院心身医学科の袁勇貴科長は、「ドーパミンとは脳内の神経伝達物質で、興奮や幸福感といった情報を伝える」と説明した。わかりやすく言えば、ドーパミンは人に快楽をもたらすもので、たとえばおいしいものを食べた時に、飲食物に対する欲が満たされて、心に喜びを感じる。こうした食べ物を通じて得られた満足感はドーパミンによって発生したものだ。またゲームをしたり、ショート動画を見たりして、その刺激によってドーパミンが分泌される。たとえばショート動画を見て笑う、知識を得る、ゲームに勝って成功の満足感を得るなどは、ドーパミンの分泌の刺激によるものだ。
一方、エンドルフィンはモルヒネに似た、体内で合成される脳内ホルモンであり、モルヒネ、アヘンと同じような鎮痛作用と快感をもたらす。天然の鎮痛剤であり、実際の生活シーンの中で、ジョギングやスポーツをした時の快感、辛いものを食べた時の快感などはいずれもエンドルフィンの分泌と関係がある。
どちらも「快感」をもたらす 両者の違いは?
袁氏によると、わかりやすく言えば、ドーパミンがもたらす快感は心理的な快感と満足という側面が強い一方で、エンドルフィンがもたらす快感は生理的なリラックスと快感という側面が強い。「若いうちはドーパミンを追いかけ、中年になってようやくエンドルフィンがわかるようになる」という言い方は、実際には一種の比喩だ。この言い方はドーパミンを「短期的な刺激による快感」と単純化し、エンドルフィンを「長く続く快感による満足」と単純化するものだ。若いときに「ドーパミンをひたすら追いかける」というのは、若者が短期的な刺激による快感を追い求めるのが好きで、中年になって初めて長く続く満足の重要性に気づくということだ。
この2種類のホルモンの分泌がバランスを失うとどうなるか。ドーパミンがなければ人は楽しさを感じられず、感情的に冷淡になり、不幸感、不安、イライラ、不満をより多く感じるようになり、この状態が長く続くと気分変調に陥るようになる。快感の欠如はうつ病の中核症状で、うつ病患者が訴える厭世感や気持ちの落ち込み、不快感、イライラや不安などはドーパミンの深刻な不足と密接な関係がある。また精神分裂病もドーパミンの不足と関係がある。
それに対し、エンドルフィンは「若返りホルモン」で、正常に分泌されたエンドルフィンは若々しさや活力を保つのを助ける。エンドルフィンが不足すると痛みの許容レベルが低下する可能性があり、生活の中で快楽も感じられなくなる。袁氏は、「エンドルフィンを獲得することは実はそれほど難しくない。普段からよく運動したり、歌を歌ったりダンスをしたりすれば、体内のエンドルフィンの分泌が促進され、体を若々しく元気に保つことができる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年7月6日