中国人民銀行(中央銀行)が市場を安定させるために打ち出した、外国為替フォワード取引について外貨リスク準備金率をゼロから20%に引き上げるとの措置が28日に発効した。
しかし米ドル指数が非常に強く(114の大台を突破)、この日の取引が始まると、人民元の対ドルレートは1ドル=7.2元の大台を割り、2019年以降の最低を更新した(1ドルは約144.5円、1元は約20.1円)。
人民元レートが7.2元まで下がったことに、外国為替フォワード取引の20%の準備金というコストも加わり、一部で見られる非理性的行為や「バンドワゴン効果」による行為が抑制されると期待される。
BNPパリバの外国為替ストラテジストの王菊氏は、「5%のオンショア米ドル建て融資のコストをベースにすると、20%の準備金はオンショア企業の為替取引コストを1%増加させる可能性がある。現在のスポット価格に基づくと、これは716ポイントに相当する。今後の人民元の動きは中国経済の状況とドル指数によって決まる」と述べた。
27日に行なわれた全国外国為替市場自律メカニズムテレビ会議では、「人民元相場の基本的安定の維持には着実な基礎がある。年初以来、人民元相場は合理的でバランスの取れた水準で基本的安定を維持してきた。中国外国為替取引センター(CFETS)の人民元レート指数は2021年末時点とほぼ横ばい。人民元の対ドルレートは低下したが、低下幅は同期のドル上昇幅の半分にとどまった。人民元はユーロ、英ポンド、日本円に対して大きく値上がりしており、現時点で世界でも数少ない強い通貨の1つだ」と指摘された。
同会議ではまた、「多くの国・地域がスタグフレーションのリスクに直面するのに比べ、中国経済は全体として回復発展の流れが続き、物価水準は基本的に安定しており、貿易黒字が高い水準を維持すると期待される。これからマクロ政策が効果を現すようになると、経済の基盤がよりしっかりしたものになるとみられる。現行の人民元レート形成メカニズムは中国の国情に合致しており、市場と政府の『2つの手』の役割を十分に発揮させることが可能だ。歴史的には外部からの衝撃という試練を度々くぐり抜けてきた人民銀行は試練に対処する経験を豊富に積み上げており、市場の期待を効果的に管理することが可能だ」と強調された。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年9月29日