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テニスで夢を追いかける山村出身の少年たち

人民網日本語版 2022年10月12日14:32

今年8月の2022アシックスジュニアテニスツアー広州オープンに、背負いかごにテニスのラケットを入れて登場し、大きな話題となった佤(ワ)族の少年・王発くんを覚えているだろうか。同大会のU14男子シングルスで優勝した彼は9月末に、雲南省臨滄市滄源佤族自治県にある実家に戻り、一家団欒を楽しんだ。

帰省した王発くん。

6年前、王発くんの抜群の持久力や瞬発力に目を留めたのは張暁洪コーチ(57)だった。今回、王くんの帰省に付き添った張コーチは、王くんの弟の王芸くん(6)も、バランスや反応の速さに優れていることに気付いたという。そして、選抜テストを見事クリアし、王芸くんはテニスのラケットを背負って兄と共に、山間部にある故郷を後にした。

王芸くん。

実は、王発くんと同じ時期に、他にも少年6人が一緒に山の奥にある故郷を後にし、そのうち5人が全国大会で優勝した。子供たちが山間部を後にして歩み出した「テニスの旅」には、張コーチの存在とサポートなしには語れない。子供の頃から体育学校で学び、引退後は様々な仕事を経験し、最終的にテニスのコーチになったという。そんな張コーチは2014年、野象テニスクラブを立ち上げて、才能ある青少年を探し始めた。「野象」の「野」は自然を追求すること、「象」は「強健」であることを象徴しているという。 あるドライブ旅行で、張コーチは「山間部で暮らす子供たちは、身体能力が高く、ハングリー精神があり、育成して伸びる可能性が高い」ことに目を留めたという。

最初のうち、訓練生集めは困難を極めたが、張コーチは決して諦めず、何度もチャレンジし、保護者を説得し、最終的に第一陣として佤族の子供を選出することに成功した。

張コーチと教え子たち。

野象クラブには現在、王発くんのように山間部から来た子供約30人が在籍し、テニスの練習だけでなく、身体能力訓練やスピード強化などに取り組んでいるほか、学校の勉強もしている。それ以外にも、張コーチは子供たちの好みに合わせて、楽器や書道などの習い事にも通わせており、「子供たちの可能性をより広げてあげたい」としている。

「かごを背負った少年」として佤族の王発くんが大きな話題となったが、その背後には、山奥の村から踏み出し、夢を叶えるために奮闘するテニス少年たちの物語がある。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年10月11日

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