中国国務院台湾事務弁公室が名指しで感謝した台湾地区の女性とは?

人民網日本語版 2022年09月16日10:19

中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が14日に開いた記者会見で、朱鳳蓮報道官はある台湾地区の女性に言及し、「こんなに美しい人が残って、皆を助けてくれてありがとう」と感謝の意を示した。では、その女性は誰で、何をしたのだろうか?

旅行中に地震に遭遇

今月5日12時52分、四川省甘孜蔵(カンゼ・チベット)族自治州瀘定県でマグニチュード(M)6.8の地震が発生した。被災地の磨西鎮には有名な観光名所・海螺溝景勝地があり、当時、約200人がそこで身動きが取れなくなってしまった。

9月9日、瀘定県磨西鎮の海螺溝景勝地へと続く、断崖絶壁にある道で復旧作業をする油圧ショベル(撮影・張浪)。

身動きが取れなくなった観光客の中には、台湾地区から旅行に来ていた女性・李柔さんがいた。国務院台湾地区事務弁公室が名前を挙げて感謝の意を示した女性はこの李さんで、今回、台湾地区の輔仁大学を卒業した後、初めて大陸部に旅行に来ていた。

8月初めに母親と共に北京に来た李さんは、四川省の成都市や稲城亜丁景勝地、雲南省のシャングリラ市などを巡り、最後に、海螺溝に来た。しかし、「温泉につかって、1泊して帰るつもりだった」ものの、地震に遭遇してしまった。

損壊した家屋の前を通る男性(資料写真、撮影・李従林)。

地震発生時、李さんは海螺溝の温泉ホテルにおり、突然揺れ始めて、すぐに地震だと分かり、「台湾地区でも地震がよくある。揺れが止まるまで待っていれば大丈夫」と考えていたものの、揺れが強くなっていくのを見て、状況は思わしくないと感じたという。

「落石が起きたり、木も倒れ始めたので、母親から早く逃げようと言われ、ホテルの外の空き地に飛び出した」という李さんはその時、落ちて来た石で脚を怪我し、母親もアキレス腱を怪我していることに気づいたものの、幸い軽傷だった。それから外部への連絡を試みたものの、通信は遮断されてしまっていた。

地震発生後、ホテルのある磨西鎮共和村は、自分たちで救援活動を展開した。李さんの車は落下してきた瓦で損壊していたものの、ホテルのスタッフに手伝ってもらって移動することができた。そして、空き地では煮炊きするためのかまどが作られ、テントも設置された。

李柔さんが撮影した被災地で救援活動を展開する隊員たちの様子(写真提供・李柔)。

救援される側から、救援する側に

自分たちで救援活動を展開した後、李さんは2、3日経たなければ救援隊員は到着しないだろうと思っていたが、なんと当日の午後5時半ごろには、第一陣の救援隊員として警察が到着した。特殊警察は、数時間かけてロープを使って山を越え、川を渡りやって来たことが後で分かったといい、「特殊警察がこんなにカッコイイと思ったのは初めて」と李さん。

6日午後、李さんは母親と共に、共和村から磨西鎮の中心部へ移動した。その途中には、「崩壊している場所」もあり、「そこはほぼ直角で、土もやわらかかった。消防隊員はロープを使って私たちを引き上げてくれた」といい、こうした危険な状況で行われた救援の様子を李さんたちはカメラに収めたという。

消防隊員に支えられながら土砂崩れを起こした山の斜面を歩く李柔さん(一番右、写真提供・李柔)。

李さんと母親は約3時間かけて、避難所に到着し、物資を受け取った時に、ボランティアを目にして、自分もそのチームに加わることにした。

李さんと母親は、「ここの消防隊員は素晴らしく、とてもやさしく、とても感動した。助けてもらったので、私たちも何かしたいと思った」と話す。

地震が発生したばかりの時、李さんは早く家に帰ることばかり考えていたが、救出されてからは、「今しなければならないのは帰ることではなく、救援の手伝いをすることだと思うようになった」という。

その後2日間、李さんは消防隊員に支えられながら通った、余震が停まらず、土砂崩れを起こした場所の多い道を再び通って、離れたばかりの共和村に2度戻り、物資の分配や住民の移送などを手伝った。

李さんは、「危険な場所にやってくると、消防隊員は『行動に移すのみ』と一言言って、すぐに突き進んでいた。それに、台湾地区のおもしろいことを私に聞いたりして、ずっとリラックスできる雰囲気づくりをしてくれていたので、怖いと感じることは全くなかった」と、消防隊員の勇気や楽観的姿勢に感動したことを振り返る。

8日午後、李さんは消防隊員と共に、共和村から離れた。その3度目の別れが、生死を共にするほどの仲となった消防隊員との別れの時ともなった。磨西鎮を離れる前夜、李さんはスマホに保存していた写真や動画を見せながら、「これは中国大陸部の旅行で、最も貴重な思い出。そのシーン、物語、瞬間もしっかりと覚えている」と語った。

消防隊員と記念撮影をする李柔さん(前列の右から2番目、写真提供・李柔)。

李さんは最後に、「海螺溝の復旧作業が行われる時には、また参加しに来たい」とした。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年9月16日

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