貴州師範大学のある撮影チームは2012年から、山間部の農村に25回にわたって足を運び、村民たちに無料で「家族写真」を撮影してきた。これまで10年の間に、約7000世帯の家族写真を1万枚以上撮影し、中国の農村の変化をカメラに収めてきた。
豊かになった暮らし 10年前と今のビフォーアフター写真
2012年7月、貴州師範大学の「1家1」家族写真撮影チームは貴州省紫雲県四大寨郷牛場村を訪問し、岑正学さん一家にとっては初めてとなる家族写真を撮影した。
当時すでに78歳だった岑さんの傍らには妻や孫などが映っており、家はとても古く、まともな家電は何もなかった。撮影チームの発起人だった鄭宇瀟さんは、「当時、岑さんの家に行くために、舗装されていない泥道を延々と歩かなければならなかった。岑さんの家族はどこかに出かけるということも、写真を撮影したこともほとんどなかったので、家族写真を撮った時は、とても喜んでくれた」と振り返る。
今年5月、撮影チームは再び岑さんの家を訪問し、家族写真を撮影した。岑さん一家は3階建ての新築一戸建てに引っ越していた。
それだけでなく、村には老人ホームや衛生所(診療所)も設置されていた。そして、医師が定期的に家を訪問して、高齢者たちの健康診断をしてくれるほか、岑さん夫婦は基本医療保険にも加入し、毎年、年金も受け取っていた。
不揃いの家族写真から家族そろって暮らせるまで
牛場村の韋紅雨さん一家も10年前に家族写真を撮影した。その写真には女性4人と子供3人しか映っておらず、家の男たちは全て出稼ぎに出ていて不在だった。
韋さんは今、村内で布依(プイ)族の伝統の刺繍作品を作って収入を得ており、「布依族の着る服は普通どれも手作り。私が着ているこの服なら1000元(1元は約20.8円)で売れる」という。さらに、彼女はライブコマースや合作社などを通して、刺繍ビジネスを拡大したい考えだ。
それだけでなく、サンショウや果物の「蜂糖李」といった特産品産業が成長し、韋さんのような村民に、自宅近くで「稼げる機会」が提供されている。そのため、韋さんは出稼ぎに出ている夫にも帰って来てもらう予定で、家族そろって暮らしたいと考えているのだという。
貴州省の農村の日進月歩も垣間見える「家族写真」
撮影チームのネーミングを「1家1」にしたのは、当時、貴州省の人里離れた村には、今までの人生で写真を1回も撮ったことがない高齢者がたくさんいることを知り、全ての家に、家族揃って撮影した「家族写真」が1枚あるようにという願いを込めてのことだった。
2012年から現在に至るまで、撮影チームは貴州省の80以上の村に足を運び、無料で1万枚以上の写真をプリントし、約7000世帯に「家族写真」をプレゼントしてきた。そしてそれらの写真は、貴州省の農村に生じた日進月歩の変化の数々をも映し出している。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年10月21日