(撮影・符武平)
2022年もあと1ヶ月足らずとなる中、浙江省、江蘇省、広東省、四川省をはじめとする複数地域の対外貿易企業が、地方政府の手配により、欧州、日本、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)などを訪れ、市場を開拓し、ビジネスチャンスを探った。
グローバル経済の鈍化、複雑で厳しい国際環境といった現実的要因に直面して、対外貿易企業の生産・経営にかかる圧力が一層強まった。しかし業界の専門家によれば、複数地域が企業による訪問団を組んで海外に送り出し「受注獲得」と「外資誘致」を目指したことは、中国の対外貿易の発展エンジンが全開になり、成長の安定への信頼感が加速的に高まっていることを反映するものだという。
(画像提供・取材対象者)
「昔からの顧客は、昔からの友人でもある」。12月4日、浙江省嘉興市の嘉興雲翔針織有限公司対外貿易部の朱宇マネージャーは嘉興市政府のチャーター便で日本を訪れ、AFF O&O 2022 WINTER(アジア繊維・ファッションOEM・ODM展示会)に参加した。3年ぶりに会った大阪の顧客は朱さんの訪日を非常に喜び、自分の車を出して朱さんが神戸の顧客3社を訪問する際の運転手役を買って出てくれた。
朱さんは取材に、「今回、昔からの顧客を訪問して200万ドル(1ドルは約132.3円)の新たな意向契約を結ぶことができた。これは当社とこの顧客とがこれまでに行なった協力の金額を上回り、2021年の当社の輸出額の3分の1を占める数字だ」と述べた。
多くの対外貿易企業の経営者が、新型コロナウイルス感染症が発生して以降、海外の顧客との往来が滞り、関係が希薄になり、受注が減少したと率直に述べる。しかし中国の感染症対策が徐々に最適化され、地方政府が経済貿易の「受注を目指す企業団」を活発に組織するにつれ、「希望の光が見え、やる気がみなぎってきた」という。
中国マクロ経済研究院対外経済研究所新興エコノミー研究室の李大偉室長(研究員)は、「より多くの海外のバイヤーが中国の各種類の輸出企業と対面で交流でき、取引コストを引き下げられるようにすることは、中国の対外貿易の質の高い発展の促進にとって非常に重要な意義がある」と述べた
李氏によると、短期的に見れば、こうした動きは中国の輸出企業がより多くの潜在的顧客を見つけ、輸出規模を拡大するようサポートできるものだ。中長期的に見れば、中国の輸出企業と関係国の企業が安定した経済貿易協力のネットワークを共同で構築し、高水準の越境産業チェーン・サプライチェーンを構築する上でプラスになるものだという。
11月23日から12月3日までのわずか10日間に、広東省仏山市の経済貿易代表団はドイツ、ポーランド、ハンガリーを訪問して、1億元を超える対外貿易の受注と複数の協力プロジェクト契約を獲得した。浙江省寧波市はビジネスチャーター便を2期計8便運航し、累計延べ600人にサービスを提供し、約20億ドルの受注額につながった。浙江省嘉興市はチャーター便でイベントに出展する企業50社の関係者計96人を日本に送り出した。関係者が現地で訪問した顧客は200社を超え、イベントで対応した業者は2100人以上、展示した新製品は2千点以上に達し、同市の23年第1四半期(1-3月)の繊維アパレル産業の輸出額を5ポイント引き上げることが予想される。
浙江大学国際連合商学院(ZIBS)デジタル経済・金融イノベーション研究センターの盤和林連席センター長(研究員)は、「中国製造業への海外からのニーズが旺盛で、ハイテク製品の輸出増が対外貿易の質の高い発展における大きな注目点になっている。現在、世界はインフレ率が高止まりし、中国のハイテク製造業の最終消費財はコストパフォーマンスが高いので、これから輸出市場をさらに開拓することになるだろう」との見方を示した。
前出の李氏は、「現在、中国の労働力や土地などの生産要素価格が上昇するのに伴って、衣類、靴類・帽子類、携帯電話の加工といった労働集約型の対外貿易企業の輸出が直面する競争圧力が客観的に見て増大している。中国は自国の優位性を発揮し、労働集約型製品の質と機能を絶えず向上させ、関連の産業チェーンのハイレベル分野を手中に収め、製品のより高い付加価値と国際競争力を獲得すべきだ」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年12月22日