企業が海外へ赴いて「受注の安定を図る」 浙江が先を走るのはなぜ?

人民網日本語版 2022年12月08日17:01

8月24日、杭州の企業関係者が杭州市の手配した対外貿易チャーター便の第1号に乗って、ビジネス・展示会活動を行なうためインドネシアに向かった。(撮影・黄慧)

新型コロナウイルス感染症の対策措置の最適化・調整が行なわれるようになったこの数日間、浙江省にまたもや「大きな動き」があり、チャーター便、乗り合い便、定期便などにより、企業1万社の関係者を海外での経済貿易活動へ送り出した。開拓精神に富む浙江が、またしても先頭に立つことになった。中国新聞網が伝えた。

浙江が先を走るのはなぜか。理由の一つは「これまでの経験」だ。浙江は対外貿易が盛んな省で、日用雑貨の都市と呼ばれる義烏、紡績軽工業の都市と呼ばれる柯橋、金属製品の都市と呼ばれる永康など、外部に大きく開かれた専門的市場がいくつもある。

新型コロナウイルス感染症が発生してから、外資系企業関係者の中国への入国が難しいという現実的な難問に直面し、イノベーションの得意な浙江はインターネットを活用して「クラウド調達・商談会」を打ち出している。これにより多くの市場経営者が対面からスクリーン越しへの転換を実現し、数多くの昔からの顧客との関係を安定させることができた。

しかしスクリーン越しには距離があり、新しい顧客を開拓しようと思えば、やはり対面での交流が必要になる。そこで今年下半期より、浙江の複数地域の商務当局が「ビジネスチャーター便」を次々に打ち出し、企業が海外に出かけて行って新市場を開拓するのをサポートするようになった。

たとえば今年7月10日、最初のビジネスチャーター便が寧波からハンガリーのブダペストへ向かった。寧波聯邦昌運国際貿易有限公司の関係責任者の孫崇龍さんはこの便を利用し、12日間にわたってビジネス訪問団とともに欧州の多くの国を訪れ、休む間もなく各地の展示会に参加し、顧客を訪問し、工場を視察して、最終的にハンガリーの肉製品輸出企業と期間5年で手付金2億ドル(1ドルは約136.8円)の輸入契約に調印した。

また、8月には、杭州市が「展示会+チャーター便」の新モデルを打ち出し、インドネシアに向かう対外貿易チャーター便と「海外の杭州」として企画する総合展示会とを結びつけた。これはつまり、チャーター便に乗った杭州の企業関係者が直接中国(インドネシア)貿易博覧会に参加し、海外の顧客を正確に絞り込んで開拓できることを意味する。

制度面の保障を強化するため、浙江省政府弁公庁は「対外貿易の安定と外資の安定の支援に関する10か条の措置」を通達し、その中でビジネスチャーター便を組織・実施することを打ち出し、定期便の路線と便数を増やすよう推進し、ビジネスチャーター便と定期便への政策的支援を強化した。

歴史的な視点で見ると、浙江のこの一連の動きはそれほど意外ではない。というのも、これは浙江の「遺伝子」がそうさせているからだ。浙江は貿易が盛んな省だ。改革開放からの40数年間にさまざまな困難に見舞われたことで、浙江は海外市場に対する感度をごく自然に高めることができた。その一端は義烏の市場にもうかがえる。便利な電気ストーブが欧米市場でよく売れており、FIFAワールドカップカタール2022の関連グッズの7割が「義烏製」であることなどからも分かる通り、逆境であっても順境であっても、浙江の人々はビジネスチャンスを次々につかまえてボトルネックを突破することができるのだ。

浙江大学の管理学院企業家学院の副院長で、浙大都市学院経済学部の学部長を務める朱建安氏は、「12月は西側諸国にとってはクリスマスのホリデーシーズンで、これまでは対外貿易取引の閑散期だった。しかし、浙江のビジネス当局の動きからは重要なシグナルが読み取れる。それは、失われた時間や流出した注文を取り戻そうというメッセージだ。そこには、政府から企業に至るまで、先例となって新たな道を切り開く精神にあふれた浙江の活力が示されている」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2022年12月8日

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