中国の火星探査車「祝融号」の着陸したエリアに液体の水は存在するのだろうか。答えは「イエス」だ。米国の国際学術誌「サイエンス・アドバンシス」はこのほど、火星に液体の水が存在するとの研究成果を記した論文を発表した。「祝融号」の観測データに基づき、中国の科学研究者が「祝融号」の着陸エリアの砂丘の表面にクラスト(薄くて硬い層)、亀裂、団粒化、多角形の隆起、帯状の水の痕跡などの特徴があることを初めて発見した。スペクトルデータの分析により、砂丘表面に水を含む硫酸塩、蛋白石、水を含む酸化鉄などの水を含んだ鉱物を豊富に含んでいることが分かった。「科技日報」が伝えた。
この論文の連絡著者で中国科学院地質・地球物理研究所の秦小光研究員は4日、取材に対し「より重要なことは、われわれがさらに研究を進めた結果、砂丘表面の水が含まれている特徴は、地下水と二酸化炭素によって生じたものではなく、降霜か降雪で生じたものであることがわかったという点だ」と述べた。
「祝融号」に搭載されたナビゲーションカメラ、マルチスペクトルカメラ、火星表面成分探測器を利用して、研究者はこのエリアの砂丘表面のミクロな特徴と物質の成分の特徴について踏み込んだ研究を行った。これと同時に、「祝融号」の火星気象測量器による実測データと他の火星探査装置による地表気象観測データと合わせて、このエリアの塩分を含む砂丘の表面に含まれている水の特徴は、温度が低下した時に発生する降霜または降雪と関係があることを確定した。秦氏は、「塩分を含む砂は、霜や雪が低温の環境下で溶けて塩を含む液体の水を形成するよう促進することができる。この塩を含む水が乾燥した後、硫酸塩、蛋白石、硫酸塩などの水を含む鉱物が砂に膠結し、砂嵐さらには団粒、そしてクラストを生じ、クラストは乾燥がより進むと亀裂を生じる。その後で再び霜か雪が降れば、クラストにはさらに多角形の隆起、帯状の水の痕跡といった液体の水の活動痕跡が見られるようになる」と述べた。
2021年、中国の火星探査機「天問1号」に搭載された火星探査車「祝融号」が、火星のユートピア平原の南縁エリアに着陸することに成功した。このエリアは火星の低緯度地域に位置する。「祝融号」は22年5月に休眠するまで、350火星日以上活動し、移動距離は約2000メートルに達し、貴重な科学探査データを大量に取得した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年5月5日