「勉友求む。図書館の閉館時間まで一緒に勉強してくれるような人希望」、「メシ友が離職しちゃった。自分が仕事を辞めるのよりツラいかも」といったように、中国のネット上では最近、仲間を意味する「搭子」という言葉が注目を集め、「若者はなぜ『搭子』を必要とするのか」というトピックが話題となっている。そしてそこにはこうした「搭子」を求めるコメントが次々と寄せられている。
「搭子スタイル」の人付き合いとは?
「搭子」とは、一種の新しい人付き合いのスタイルで、「メシ友」や「旅友」、「カフェ友」、「ジム友」といった具合に、何か具体的な一つのことを一緒にする仲間のことを指すとともに、親密な友だち関係の代わりとなる気楽な付き合いという意味としても使われている。
味の好みが同じ人と「メシ友」になれば、1人での食事だと料理を1品しか注文できないというデメリットを解決し、割り勘にすることもできるため、お金をあまりかけずに、いろんな料理を食べることができるというメリットがある。また、「2杯目は半額」といったサービスを提供するミルクティー店に、「チャ友」と一緒に行けば、より割安でミルクティーを飲むことができる。また長くて辛い大学院受験の道のりにおいて、資料集めに疲労困憊している際には、大学院受験の「勉友」の存在が、辛い受験勉強の仲間となってくれるだけでなく、資料をシェアすることで、資料集めの大変さも緩和してくれる。
「2023搭子スタイルの人付き合いミニ報告」では、1431人を対象にアンケート調査を実施。回答者の95.8%が、こうした「寄り添い型の人付き合い」を必要としていた。このように「搭子」は今、まさに若者の精神的支えとなっていると言うことができるだろう。
では、「気楽な付き合い」という意味で「搭子」を使っているのであれば、なぜ「友だち」ではなく、「搭子」だけを探そうとする人が次第に増えている傾向にあるのだろうか?
人々の「友情」に対する要求はより厳しい
古代ギリシャの作家・ヘロドトスは、「真の友は最大の財産」という名言を残している。そして古今東西いずれにおいても、「友情」に対して極めて高く評価しているため、人は友だちを選ぶ際、自然とその要求が厳しくなる。
一方、「搭子」に求めることは非常にシンプルで、「趣味が同じ」や「味の好みが合う」、「方向性が似ている」といった共通点だけで、若者はすぐに「搭子」になれる。
共感してくれることを期待したり、関係を維持するために気苦労したりする必要すらないというのが、今の若者が求める人付き合いのスタイルにマッチしている。同時に関係を維持するために時間やエネルギーを使う必要がなく、精神的に疲れることもない。
「搭子」の流行は、「互いに寄り添い合うが、互いに干渉しない」という今の若者の大きな特徴を反映している。
そして「搭子スタイル」は、一種の新しい人付き合いのスタイルで、あらゆる領域に広がっていると言える。「同僚以上、友だち未満」という人付き合いは、同じ趣味があるものの、干渉しすぎることなく、人間関係を簡素化して「いいとこどり」し、交際にかかるコストも削減している。このような割り切った人付き合いが、若者の間で流行しているのだ。
若者にとっての最も気軽なお見合い相手の探し方に
こうした「搭子スタイル」の人付き合いは、一緒にやることが増えるほど、ますます密な付き合いになっていくことは避けがたいというのもまた事実だ。同じように好きなことをし、喜怒哀楽を共にするのであれば、「友だち」と「搭子」の違いはどこにあるのだろうか?「搭子」とは、寂しさを一時的に和らげくれる「痛み止め」のようなものでありながら、都市で生活する男女の「恋人予備軍」にもなっている。「メシ友」であろうと、「ジム友」や「勉友」であろうと、「搭子」は最終的に友だちや恋人に格上げされるか、またはいずれか一方に友だちや恋人ができた時点で、忘れ去られる存在だ。
何度お見合いをしても、良い相手が見つからず、お見合いに嫌気がさし始めたので、「メシ友」を見つけて週末を過ごしているというネットユーザーもおり、「『お見合い』が勝ち負けが必ずある試合とするなら、『搭子』は親善試合のようなもので、食事が一番の目的。相手のことが気に入るかは重要でない」というコメントを寄せている。
北京在住のRiriさんは以前、「搭子」のチャットグループに、ある一人の男性が投稿した「釣りに行きたい人はいない?」というメッセージに反応し、よく考えもせずに一緒に行ったことがあるという。そして、「実は釣りなんかしたことはなかったけど、『搭子』のいいところは、できるかできないかは関係なく、一緒に楽しく遊べれば、それで良いというところ」としている。
同じ趣味や好みを共にする「搭子」から、次第に互いの生活に溶け込み、友だち、ひいては恋人へと発展していくというケースもますます増えている。しかしだからといって、友だちや恋人にはなれなかった「搭子」には存在価値がないというわけでは決してない。移り変わりの激しい生活において、同僚は仕事を辞めるかもしれず、友だちやルームメイトは他の場所へ引っ越してしまうかもしれない。こうした日常において、「搭子」は自分と都市をしっかりとつないでくれる「糸」となっているのだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年4月28日