「若い女性が25万元(1元は約19.5円)払って死んだペット犬のクローンに成功」。「上海の高齢女性が18万元でペットのクローンを作成」……。ここ数年、こうしたニュースがしばしば議論され、「ペットのクローン」に関する話題が人々の視界に入ってきた。
「中国ペット健康消費白書」によれば、現在、中国のペット消費市場の規模が急速に拡大し、2022年は約3117億元となり、23年は3924億元に拡大する見込みだ。大半のペットの飼い主にとって、ペットはもはや家族であり、自分に寄り添い、暮らしの中で喜びを与えてくれる大切な存在だ。
中国初のクローン猫「大蒜」
17年に中国の科学者がゲノム編集とクローン技術を駆使して、国産クローン犬第一号「龍龍」を誕生させた。その2年後には、中国初のクローン猫「大蒜」も誕生した。それまではクローン犬・クローン猫のコア技術はずっと韓国と米国の科学者の手に握られていた。「龍龍」と「大蒜」の登場により、ペットクローンの業務に携わる北京希諾谷生物科技有限公司が脚光を浴びるようになった上、中国が技術的難題でブレークスルーを達成し、ペットクローンのビジネス競争に足を踏み入れたことも間接的に宣言した。
こうしたニュースはペット愛好家にとってまさに福音で、実際にかわいがっていたペットが死んでしまった時、お金を払ってクローンを作り「生き返らせる」人が出てきた。
同社はわずか数年で急速に発展し、中国のペットクローン産業のトップ企業になった。同社の米継東会長によると、「当社はこれまでにペットのクローンを500匹近く引き渡し、長期的な追跡調査によれば、このペットたちはとても順調に成長し健康状態も非常に良好だ」という。
米会長は外部で注目されているクローンペットの価格問題について、「クローンペットの値段については、目に見えない技術的ハードルのほか、クローンペットにはたくさんのリソースによる支援が確かに必要であり、これには先端の機器設備や技術者などハード面のコストが含まれる。今後は技術の最適化を通じて、効率が向上してコストが抑えられるようになり、値段はもっと下がるだろう」と述べた。
現在、中国国内の他社の参入にともなって、クローンペットを巡る新たな競争がますます熱を帯びるようになった。クローンペットの価格は「庶民的」になる方向に進んでおり、ECプラットフォームではクローン猫の最低価格が過去最高だった数十万元から、現在は10万元前後に下がっている。
ここ数年、クローンペットが私たちの前に姿を現す機会がますます多くなるにつれて、監督管理が必要であるとの声も社会的に高まっている。整備された市場参入制度をどのように構築するか、クローンペットの全プロセスをどうやって監督管理に組み込むかが、今や回避できない社会問題となっている。
科学技術の発展はより多くの可能性ももたらした。近年、世界では生態環境の危機が日増しに深刻になり、生物多様性の保護も厳しい挑戦に直面している。専門家は、「クローン技術は絶滅のおそれがある野生生物の保護によい切り込みポイントを提供しており、生物多様性の保護に大きく貢献する」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年6月9日