香港証券取引所は19日、対象銘柄を香港ドルだけでなく人民元でも取引できる「香港ドル/人民元デュアルカウンターモデル」を打ち出した。業界関係者によると、これによって人民元の投資ルートがより豊富になり、人民元のオフショア市場での流通が促進され、人民元国際化プロセスが推進されるという。
デュアルカウンターモデルが打ち出された当日、恒生銀行有限公司、新鴻基地産発展有限公司など24銘柄の証券がデュアルカウンター証券になった。中銀国際証券有限公司、中国国際金融香港証券有限公司など9つの取引参加者は、マーケットメイキングまたは流通量を巡る活動を行うことになる。
香港特別行政区の市場は2010年より、人民元建て債券、ETF(上場投資信託)、先物取引など140銘柄の人民元建て商品を相次いで打ち出してきた。デュアルカウンターモデルが正式に打ち出されると、認可されたデュアルカウンター証券が加わって、取扱商品は160銘柄を超え、投資家はオフショア人民元建て商品市場でより多くの選択肢を持つことになる。
香港特区の経済専門家で絲路智谷研究院の梁海明院長は、「今回の措置は香港特区株式市場により多様化した資金を提供するとともに、人民元の国際的地位をさらに高め、香港特区の国際金融センターとしての地位を突き固めて発展させることにもなる」との見方を示した。
22年5月、国際通貨基金(IMF)は5年に一度行われる特別引出権(SDR)構成通貨バスケットの評価手法の見直しの中で、人民元の比重をこれまでの10.92%から12.28%に引き上げると発表した。梁院長は、「中国の金融市場の改革開放がさらに深化するにつれ、グローバル金融市場における人民元の地位も持続的に上昇し、ますます多くの投資家の間で人気となった」とした。
デュアルカウンターモデルは人民元国際化の「加速ボタン」を押した。このモデルの下で、香港証券取引所は関連の取引・決済の手続きを最適化し、投資家は同一の発行者が発行した香港ドル建て証券及び人民元建て証券の交換が可能になる。両通貨建て証券は同一種類の証券となり、受益所有権が変わらなければ相互に転換することが可能になる。
香港特区は世界最大のオフショア人民元センターだ。香港特区の博大資本国際有限公司の温天納最高経営責任者(CEO)は取材に、「今回のデュアルカウンターモデルの設立は、さらに多くの資金を呼び込んで香港株式市場に投入されるようにすると同時に、香港特区で流動する人民元資金を活性化させることにもなり、人民元国際化をレベルアップさせる非常によい役割を果たすことになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年6月20日