日本で批判される宮崎駿監督 反戦主義者が売国奴に!? (3)
宮崎監督は新作がさまざまな異なる反応を引き起こしていることを知っているが、これに対してあくまでも静観した態度をとっている。「社会制度や生活スタイルは共に大きく変化する時期を経てきた」として、朝日新聞に対して、「アニメが以前のようなファンタジーを作ることはもう不可能だが、我々は新しい方向に向かって進むしかない」と語っている。
しかし、これらの批判は映画の興行成績には何らマイナスの影響を与えていないようだ。米国の総合雑誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」は、「興行成績から見て、『風立ちぬ』が今年最も成功した日本映画であることは間違いない」と評している。
■平和憲法の改正に反対、「憲法改正などもってのほか」
「風立ちぬ」の初日を前日に迎えた夜、宮崎監督はスタジオジブリが発行している小冊子「熱風」にある文章を発表した。これには、「大人のアニメ」を製作することを決意するまでの気持ちの変化や経緯が綴られている。それと同時に、日本の「憲法改正」の問題についてもかなりのボリュームを割いて意見が述べられている。
宮崎監督はこの文章の中で、厳粛な政治の話題についても触れ、日本の政治家が平和憲法を改正しようとしていることについて反対の立場にあることを明確に表明するだけでなく、「憲法を変えることについては、反対に決まっている」と明言している。このほか、「選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほか」として、「考えの足りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい」と綴っている。さらに歴史感覚や定見のない政府や政党のトップに対して、「国家の基礎を乱すべきではない」と痛烈な批判を述べている。