日本では新聞を購読しなければ、馬鹿にされる時代があった (2)
中国メディアが見る日本 しかし、加藤氏は個人的なある恐れを明かした。「このような巨大な象は、巨体ゆえに、方向転換しようとしても、スピードが非常に遅い」として、「これほど大きな販売ネットワークは、すぐには変革できない。我々は販売店の心情も考慮しなければならない。そのためインターネットの発展に対して極めて慎重に対応している」と語る。現時点では、「読売新聞」の60%の内容はオンライン上で見ることができるが、すべてのニュースが見られるのは、本誌を購読している人だけに限られる。
■新聞社は「文字文化」の維持・存続に全力を傾ける
日本の新聞の発行部数は圧倒的だ。しかし、日本の大学内に新聞の専門学部・学科は比較的少ない。加藤氏の同僚の大部分も新聞学の専攻ではないという。加藤氏はこれについて、「日本の新聞社は独自で記者を育てる手間を惜しまない。もちろん記者がちゃんと育って、その恩義を返してくれる必要はあるが」と説明する。
「読売新聞」では、入社したての若い記者は地方に約5年間派遣されて経験を積まされるのだという。「これらの新人は基本的に警察を取材することから始める。なぜなら警察が最も取材が難しい相手だから。通常、新人記者は警察官から無視される。警察官と知り合いになるために、新人は多くのアイデアを練る。例えば、警察官の誕生日を調べて、当日、その警察官にあいさつをするときに、「おはようございます。誕生日おめでとうございます」と言うとか。あるいは、わざと警察官の家の前で道を聞いて、翌日、その警察官を尋ねて、「昨日、道をお聞きしたものです。どうもありがとうございました」と言い、3日目にはまた警察に行って、その警察官に「実は私記者なんです」と告白する。すると、その警察官もつい笑ってしまう」と語る。
記者は数年の実地訓練を経た後、東京本部に戻り、新たな部署へと配属され、改めて新人として仕事を行うという。加藤氏は、「この業界で最も必要とされるのは経験。最も貴重なものは人」だという見方を示し、「記者の収入は日本においてはとりわけ高いわけではないが、社会的地位は高い」と語る。
日本の新聞社は「文字文化」を維持・存続することに関して、多くの積極的な努力や投資を行っている。例えば記者が学校に行って授業を行ったり、子供新聞を発行したりするなどだ。「『文字文化』やその空間を維持すること。この種の伝統的なものは存続されなければならない。簡単に手離してはならないものだ」と加藤氏は主張する。これはボランティア活動である以上に、新聞社自らの生存と未来のためでもあるからだという。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年11月26日