日本では新聞を購読しなければ、馬鹿にされる時代があった
中国メディアが見る日本 「日本では今でも多くの人が地下鉄や路線バス、路上などで、新聞を読んでいるのだろうか?」。この質問を日本に行ったことがある人や日本の友人にすれば、いずれもYesと答えるだろう。新メディアが発信する情報が世界中に溢れ、それが駆け巡っている今、日本の新聞はなぜその攻勢に対抗できているのか?なぜ日本人は新聞を読むのが好きなのか?これらの問題の解答を知りたくて、日本最大の発行部数を誇る「読売新聞」中国総局長の加藤隆則氏のもとを尋ねた。新京報が伝えた。
■発行部数の95%を購読者が支えている
1988年に「読売新聞」に入社した加藤氏は、すでに新聞社に勤めて25年になる。恐らく新聞社に勤務する人の職業病なのだろう。今回のようなごく簡単な取材でも、加藤氏は非常に分厚い資料を準備していた。私の向かいに座った加藤氏は、しゃべる度に、腰を屈めて該当する資料のページをめくり、私に指し示した。
1874年に創刊した「読売新聞」は日本で最も歴史の長い新聞だ。1000万部の発行部数は、世界第1位を誇る。「読売新聞」の収入の60%は新聞の売り上げで、広告収入はわずか20%しかない。このほかには、不動産などの収入がある。発行部数のうち95%が購読だ。このような膨大な数の購読数を保持するのは並大抵のことではない。
「読売新聞」は日本全国に約7400店の販売店とその従業員9万人を擁している。加藤氏が入社したばかりのころ、販売店で新人訓練を受け、配達員とともに仕事を行ったという。
「仕事は非常にきつかった。基本的に深夜3時に起床して、広告などを新聞の中に挟む折込作業を行う。だいたい朝方6時前後に朝刊を配達する仕事が終わる。少し休んだ後、新しい購読者を開拓する仕事を続けて行う。正午12時を過ぎると、「読売新聞」の夕刊の配達に出かける」と加藤氏はその当時の記憶を語る。以前は貧しい家庭に育った多くの学生が新聞配達のアルバイトを行い、新聞者が支給する奨学金などを得ていたという。
■圧倒的な発行部数は新聞に対する特別な感情によるもの
1960、70年代、日本の新聞産業は大きく発展した。そして、圧倒的な発行部数は同時に日本人の新聞に対する特別な感情を育てた。加藤氏は、「あの時代、新聞を購読しない家があったら、人々から馬鹿にされ、周りの人から、『この家は新聞も読まない』と後ろ指をさされた」と語る。あの時代の日本の新聞の競争は非常に激しかった。販売員は「新聞を購読しませんか?購読してくださったら、これを差し上げます」というセールストークとともに、たくさんの特典を持って家庭を訪問した。かつては、販売店は新聞購読をしてくれた家には、洗濯機をプレゼントしてもいいという許可までもらっていたという。また、他新聞の販売員からの妨害行為を防止するため、退職した元警察官をわざわざ雇っていた新聞社もあったという。日本の新聞社は、このような独特な販売スタイルをもって、これまでずっと圧倒的な発行部数を維持し続けてきた。