東アジアの地政学的状況に地震を引き起こしているのは誰か
このところ、さらには近年、戦後秩序をいかにして守るかが、東アジア地域が向き合わねばならない問題となっている。第2次大戦後の東アジアの平和の重要な政治的、戦略的基礎はいくつかの大国が日本に対して行なった取り決めであり、日本は軍国主義による侵略の歴史を清算し、平和の道を歩まねばならないというのがその核心だ。(文:任衛東・中国現代国際関係研究院副研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
だが現在、この状況に重大な変化が生じつつある。第1に、日本は東アジア地域の主導権奪取を企てている。第2に、日本は米国に保護されることに満足せず、集団的自衛権の行使によって米国の作戦に協力しようとしている。日本がこの地域において斬新で、独立した、主導的な地位を追い求めていることは明らかだ。この動きは領土野心の膨張も伴っている。
これは東アジアの地政学的状況に間違いなく地震を引き起こす。日本の演じるこの新たな役割を東アジア諸国は適応し、受け入れ、認めることができるだろうか?東アジアが歴史の前轍を踏むのを許すことができるだろうか?中国、ロシア、朝鮮、韓国、および東南アジアの多くの国々は反ファシズム戦争の勝利の成果を守るという重要な認識を共有している。日本の向かっている方向が、こうした国々の重大な懸念と激しい反応を招き、地域の摩擦を拡大、激化することは必至だ。
事実上、こうした状況の出現は米国が東アジア地域で影響力を安定的に維持するうえでもマイナスだ。しかも理論上、日本の政治の方向性と戦略的役割の変化は、最終的に米国自身の安全をも脅かす。だが、日本のこうした動向は、まさに米国が放任し、推進する中で生じたものだ。これは一体なぜか?
主として、中国の台頭を抑え込むという点で米日が高度に一致し、高度に一致した共振すら生じているからだ。「周辺有事」の範囲を台湾を含む東アジア地域全体にまで拡大し、軍事力配備の重点を北方から南西へシフトし、釣魚島(日本名・尖閣諸島)など係争島嶼を国有化し、米国のアジア太平洋でのミサイル防衛システムに積極的に参加し、米国と島嶼奪還演習を繰り返し行い、標的を定めて海軍力を大幅に増強し、防衛白書など安保戦略文書で中国の脅威を重点的に強調する。中国を念頭に置いたこうした戦略措置は、日本が中国の台頭を抑え込むために必要なだけでなく、米国のアジア太平洋リバランス戦略の重要な構成要素でもある。