誰が米国にサイバー攻撃権を与えたか?
スノーデン氏は米国政府が国内外で大規模な通信監視を行なっている事実を暴き出し、人々のこれまでの推測を裏付けた。だがインターネットと電話に対するその監視・盗聴の深さと広さは、やはり世界を大きく揺るがした。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
米国の朝野が大規模な情報監視を強く問題視していることを受け、オバマ大統領はこのほど情報収集活動について法律の見直し、政府権力の抑制・均衡の強化、情報監視の透明性の向上、外部の専門家による審査という4つの改革措置を打ち出した。
ホワイトハウスはこれよってテロ対策と人権保護との線引きをすることを希望している。オバマ大統領がより期待しているのは、米国の国家安全保障上のニーズと民衆のプライバシー権を同時に満たすことで、スノーデン氏による暴露が引き起こした1カ月余りの論争に終止符を打つことだ。この改革措置が目的を達成できるかどうかは、まだ観察が必要だ。オバマ大統領の約束の多数は依然口先だけで実行を伴わないのだから。また、情報活動の特殊性から、ホワイトハウスが情報監視の透明性を高めたかどうかを一般の民衆が確認するのは困難だ。
オバマ大統領がどのような姿勢を表明しようとも、変化しないことが2つある。米国政府が情報活動の見直しによって、国内の民衆に対する継続的監視を中断することはないし、世界各国に対する厳しい監視を停止することもないということだ。オバマ大統領の打ち出した措置は他国の情報主権に対する侵害を停止するかどうかには全く触れていない。米政府は第一種の均衡、つまり国家の安全と国民の利益との間の均衡を再構築しようとしているが、第二種の均衡、つまり自国の利益と他国の利益との間の均衡に対する関心は全く見られない。