日本車の命運は中日関係次第
日本の敗戦・降伏の日である8月15日が近づく中、依然として安倍首相の靖国参拝が懸念され、釣魚島(日本名・尖閣諸島)危機が続き、日本車メーカーは神経を張り詰め始めている。日産のある役員は以前「われわれにとって8月の靖国参拝問題は最大の懸念だ。政府は中日関係改善のために行動してほしい。われわれ一企業の努力でできることではない。今われわれは全てが平穏無事に過ぎることを祈っている」と語った。トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱、鈴木など日本車メーカーの心境もほとんどが同様のはずだ。日本車メーカーの中国法人は、この期間慎重に、控え目に事を行なうよう従業員に通知することが予想される。問題は、たとえ今年の8月15日が「平穏無事」に過ぎたとしても、その後はどうなのかだ。8月15日は日本車メーカーにとって永遠に鬼門なのだろうか?(文:何侖「国際商報・汽車周刊」編集長。国際商報掲載)
政治問題によって国家間の経済・貿易関係が損なわれるケースは別に珍しくない。中米間、中独間、中仏間、さらには中国・ノルウェー間にもある。だが中日間のように定期的に(例えば8月15日や七七事変<盧溝橋事件>の7月7日)、民衆の感情を刺激し(例えば釣魚島<日本名・尖閣諸島>紛争、戦争賠償、元労働者や元慰安婦への賠償など)、深刻な結末をもたらす問題は他に例を見ない。これが41年前の中日国交正常化時に人々が期待していた「正常化」ではないことは明らかだ。当時の「正常化」は多くの問題を解決したが、少なからぬ問題も残した。今や、そうした問題が集中的に表面化している。中日の国交が「第二次正常化」を果たすべき時期にきているのは明らかだ。
日本車最大手、トヨタを例に取ると、大規模なリコールによる深刻な危機に立て続けに見舞われながらも、世界トップの称号を維持し、今年第1四半期には5年ぶりに黒字転換も果たした。その強大な危機対処能力と総合競争力が十分に見てとれる。だが2012年の中国市場でのシェアはわずか4.4%で、14.3%という世界市場でのシェアと比べれば端数に過ぎない。もし中国という世界最大の自動車市場でも世界市場並みのシェアを獲得できれば、フォルクスワーゲンに追い抜かれる可能性は大幅に減るだろう。トヨタが中国で阻まれている原因は多数あるが、その重要な1つが近年どんどん正常でなくなってきている中日関係だ。
中日関係の現状を受けて、どのみち一部の消費者は感情的に日本車を受け入れがたくなる。このため日本車メーカーは自らの中国での位置づけと戦略目標を再調整し、より多くの付加価値を提供することで消費者の信頼を勝ち取るとともに、社会的責任に関する事業をより効果的に進めるほか、各種リソースを可能な限り用いて日本政府に圧力をかけ、中日関係の「第二次正常化」を後押しする必要がある。