世界一目指す長沙市の超高層ビル 工期10カ月で安全か
完成すれば世界一高い超高層ビルになる「天空城市(Sky City)」の建設がこのほど、 湖南省長沙市で始まった。202階建ての同ビルの高さは838メートルに及ぶ予定で、完成すれば、アラブ首長国連邦ドバイにあり、今の時点で世界一高い超高層ビルである「ブルジュ・ハリーファ」の高さ828メートルを10メートル上回ることになる。一方、「ブルジュ・ハリーファ」の建設には5年の月日を要したのに対し、「天空城市」の工期はわずか10カ月足らずと極端に短く、論議を呼んでいる。杭州日報が報じた。
「天空城市」の工期が極端に短いのは、外壁や床などの95%を事前に工場で組み立てるモジュール化が採用されているからだ。そのため、1日当たり4-5階分の材料を組み立てることができる。簡単に言えば、積み木を組み立てるようなもので、すべての材料を1つ1つつなぎ合わせるだけでいいのだ。しかし、これだけの説明では、多くの人の安全に対する不安を取り除くことはできないだろう。専門家は、「同技術は、高さ100メートル以内の建物にしか使用できない。この高さを超えると、ビル全体に質的変化が生じてしまう。また、高層ビルの建設には、地面が沈下していないかを一定の時間観察する期間が必要」と指摘しているからだ。
超高層ビルがもたらす問題には近年、多くの人々が関心を持つようになっている。例えば、2001年9月11日、米国で発生した同時多発テロ事件では、強固に見えた世界貿易センタービルのツインタワーが、火災の熱による鉄骨の破断で強度を失い、上部から砕けるように崩壊した様子は、非常に印象深かった。さらに、現在世界で最も長い消防車の梯子でも、130メートルしかないため、一旦大火災が発生すると、消防救援やビル内の人々の避難などが難しく、世界的な難題となっている。超高層ビルはまた、都市に交通の問題やヒートアイランド、低周波騒音などの問題をもたらし、人々の健康をも脅かすため、決して無視することはできない。
専門家は、「超高層ビルは工業化の産物で、現在の工業社会の建築は、自然に優しいことやエコなどを強調しており、継続した発展を見せている。高い場所で生活している人が精神的な問題を抱えやすいことが少しずつ分かっている現在、我々は引き続き、『超高層』を追い求めるべきなのだろうか。実際には、超高層ビルは、都市化が進んでいるかを計るバロメーターではない。そして、『世界一』だけを一心に求めていると、都市の本当の文化や人々の生活の質が往々にしてないがしろにされる。多くの都市にとって、多くの超高層ビルが集まると、かえって『懸念』が増えるだけである」と警告している。
これらのことを抜きにしたとしても、長沙市が目指す世界一の超高層ビルが本当に安全なのか、人々はさらに多くの情報を知るべき理由があるはずだ。 (編集KN)
「人民網日本語版」2013年7月23日