省を跨ぐ地下鉄は「先例モデル」?それとも「特例」?
上海地下鉄11号線北部延長区間(花橋区間)が16日、正式に運行を開始し、乗客を乗せた試運転がスタートした。省(直轄市)同士を跨ぐ地下鉄の運行は、この上海・江蘇間が全国初のケースとなる。「地下鉄営業都市」が拡大するにつれ、地区と地区を跨ぐ、さらには省・直轄市を跨ぐ地下鉄も、都市間交通の新たなパターンのひとつとなりつつある。科技日報が報じた。
○省を跨ぐ地下鉄、他の地下鉄線への乗り換えも「連絡きっぷ1枚」で可能
花橋区間の試運転が始まったことで、上海地下鉄11号線の営業距離は72キロメートルに達し、全国最長の地下鉄線となった。江蘇省内の花橋駅を出発後、1時間あまりで上海市中心部に到着し、他の地下鉄線に乗り換えることが可能となり、江蘇・上海両地の住民の外出や通勤に多大な便宜がもたらされる。
省を跨ぐ従来の交通機関と比べ、地下鉄利用による簡便性と経済性は際立っている。例えば、上海市中心部にある徐家匯駅から江蘇省花橋駅までの運賃は、わずか7元(約110円)で済む。
今回開通した花橋区間では、他の地下鉄線に乗り換える際にも、連絡きっぷ1枚で乗車できる。
○大都市に住むのと同じメリットがもたらされる
専門家は、「都市基盤交通システムが、行政区画という壁を突破し、本当の意味で相互乗り入れを実現することは、地域経済一体化の足並みを加速させ、大地域内にある省市であることの効果を高めるだけではなく、都市軌道交通ネットワークのスピード発展を推し進めている全国各大都市に対し、省を跨ぐモデルケースを提示するという役割も果たす」と指摘した。
上海に住む退職者の陳さん(女性)は、3年前に江蘇省花橋に老後を過ごすための自宅を購入した。「省を跨ぐ地下鉄が開通すると、自分は最大の利益を享受できる」と陳さんは話す。「これまで、上海地下鉄の最西端は安亭駅だった。お隣の花橋に行くには、他の交通機関に乗り換えなければならなかった。自家用車を使うと、高速道路代がかかる。これからは、7元の切符代だけで、わずか70分で上海市街地に直行することができ、大変便利になる。また、住宅価格がわりと安い花橋には、多くの若い人が住んでおり、安亭など上海市内に出勤している。彼らにとって、省を跨ぐ地下鉄が開通したことは、上海市内で生活するのと同じメリットをもたらしてくれる」と述べた。
都市地下鉄は、都市公共交通システムのひとつであることから、省を跨ぐ地下鉄の運賃精算業務は、相互乗り入れを実施する際に解決すべき問題だ。上海地下鉄は、「今のところ、上海・江蘇両地の運賃優遇政策の優遇対象はそれぞれ異なるが、崑山区間が上海地下鉄システムに組み入れられていることから、上海の政策にもとづいて実施される」と話した。