ソニーがエンタメ事業の分離を拒否 (2)
「少なくとも赤字から黒字に転換した」。中商流通生産力促進センターの家電アナリスト・陳秀珍氏は「エレクトロニクス市場は完全競争だ。経営の集約化、合理的なコスト抑制と費用削減は企業の発展にプラスだ。日本企業は現在再編と事業削減によってコストを抑制している。これは事業モデルの転換を反映しており、より収益の見込める事業に転換するかもしれない。こうした成長が続くかどうかについては、投資する事業が持続的発展性や長期的黒字性を備えるかどうか、そして企業がその分野で競争優位にあるかどうかを見なければならない」と指摘した。
だがこれを有望視しない業界関係者もいる。Digital World ResearchのP.J マクニーリーCEOは「ソニーの第2四半期の黒字転換は一時的なものに過ぎない。柱であるエレクトロニクス事業が一新されていないというファンダメンタルズに存在する問題がこれによって覆い隠された」と直言した。
■エンターテイメント事業は今後も完全所有
ここ数年のソニーの業績不振に、投資家も業を煮やしている。著名な投資家ダニエル・ローブ氏のヘッジファンド、サード・ポイントは今年5月、エンターテイメント事業の5分の1の株式を売却してエレクトロニクス事業の立て直しに充てることをソニーに提案した。ローブ氏は映画、テレビなどエンターテイメント事業についてマネジメントが悪いと批判。ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントのマイケル・リントンCEOについても職責を履行せず、財務管理能力を欠いていると批判した。
ソニーは臨時取締役会で、この提案を全会一致で否決。平井氏はサード・ポイントへの書簡で「映画・音楽事業は今後も収益拡大が見込め、完全所有することでグループのコラボレーションを促進できる」と指摘。サード・ポイントが株式上場によって電機事業再建の資金を調達できるとしたことについては「社債発行など他の手段で調達できる」として否定した。だが平井氏は、エンターテイメント事業の業績に関する情報開示をさらに拡大するとして譲歩も見せた。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年8月8日