日本経済が失速 現れ始めたリスクの兆し (2)
日本総合研究所調査部調査部の山田久チーフエコノミストによると、安倍内閣の金融政策において「期待が先行し、市場が先導する」第一段階の任務はすでに完了した。続いて実体経済が回復する段階に進まなければならないという。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所の張季風首席研究員によると、安倍政権は超緩和政策によって日本経済の復興をはかり、経済の回復によって支持率を高め、さきの参議院議員選挙で大勝した。だが期待される効果が長期的に続くことは不可能であり、第2四半期の日本経済の失速ぶりがこのことを証明している。実体経済の発展を喚起し、国内投資を促進するという力強い措置をうち出さなければ、経済の好調さを維持することは難しい。
嘉悦大学の徐一睿講師によると、安倍政権の金融政策がもたらしたのは「インフレ観測」であり、実際の経済成長に支えられていないインフレ観測が長続きするはずがない。特に個人所得が伸びない中、2%のインフレ率達成はほとんど不可能だという。
張首席研究員によると、日本では6月に消費者物価指数(CPI)が0.6%に達しており、2年後にインフレ率2%を達成する可能性がある。だが最大の問題は、目標のインフレ率を達成しても、個人所得が増えなければ、日本経済がより困難な局面に陥るということだ。
▽予定通り消費税率を引き上げるかどうかが最大の難問
アベノミクスの3つの基本方針(3本の矢)のうち2本目の矢は、機動的な財政政策によって公共投資を拡大し、国内の需要を喚起するというものだ。これは財政再建や赤字削減の要求と矛盾する。財務省がまとめた最新のデータによると、今年6月30日現在、日本の借款を含めた債務残高が初めて1千兆円の大台を突破した。これはGDPの247%にあたり、世界一だ。