TPP交渉の年内妥結は困難 原産地規則が重点に
日本や米国など12カ国が参加した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の第19回交渉会合が22日、ブルネイの首都バンダルスリブガワンで閉幕した。今回は日本が初めて全日程に参加した交渉会合であり、農業や政府調達の分野での米国との溝は交渉では埋まらなかった。さまざまな動きからわかるように、米国とそれ以外の参加国との間には多くの溝があり、これを埋められるかどうかが交渉の行方を左右する焦点になっている。環球時報が伝えた。
今回の交渉会合には7つの特に注目すべき分野があった。「市場アクセス」(関税撤廃・削減)、「サービスと投資」、「金融サービス」、「政府調達」、「知的財産権保護」、「競争」、「環境」だ。タイ紙「ネーション」によると、マレーシアとシンガポールは米国が提起した「年内の交渉妥結」に公式の場で反対を表明したという。
日本の共同通信社の26日付報道によると、今回のTPP交渉では、オーストラリアに続いてマレーシアとベトナムも、米国が導入をはかる「投資家対国家の紛争解決条項」(ISDS)(不利益を受けた企業などが政府を提訴できるようにする条項)に反対を表明した。マレーシア国際貿易・産業省のムスタファ・モハメド大臣によれば、米国がマレーシア政府に圧力をかけて国有企業に対するコントロールを緩めるよう要求することを懸念する。マレーシアは米国がうち出した「国有企業と民間企業のために環境作りをし、競争に公平に参入できるようにする」という提案に不安を感じているという。マレーシアとシンガポールには国有企業が多く、新しい自由化ルールの受け入れは容易でないことが背景にある。
原産地規則は貿易交渉の重点で、TPP交渉会合が直面する主な障害になるとみられる。アジア開発銀行研究所のケイ予青エコノミストによると、農産品と鉱物の原産地は容易に特定できるが、供給チェーンのグローバル化を背景として、製品の原産地の特定が難しくなっている。原産地証明書を申請すれば、企業の時間的コストが増大することにもなり、多くの企業がTPPを利用しづらくなるという。
別の専門家は、日本に残された交渉時間が少なく、TPP交渉会合はおそらく年内に妥結できないとの見方を示す。またシンガポールの南洋理工大学S・ラジャラトナム国際問題研究大学院の胡逸山シニアフェローは、TPP交渉会合の深さや複雑さ、TPP交渉に多くの国に関わっていることを考えると、年内に調印にこぎづける可能性は低いと率直に指摘する。(編集KS)
*ケイ:「おおざと」に「開」の旁
「人民網日本語版」2013年8月29日