日本の政府債務が急速に増加 高まるリスク
安倍首相が再任後行っているいわゆる柔軟で機動的な財政政策の本質は、財政刺激策の再使用による公共投資の拡大だ。税収が著しく増加しない中、公共投資拡大の資金は主に国債発行に頼っている。国債発行額が国の税収を上回る状況がすでに4年続いており、日本の財政は非常に厳しい持続可能性の危機に直面している。(文:張舒英・中国社会科学院日本研究所。経済参考報掲載)
ギリシャやイタリアは政府債務の増加によって、全世界に波及する欧州債務危機を招いた。実は日本の政府債務は早くも10数年前にイタリアを超えている。
経済協力開発機構(OECD)の発表によると、日本の一般政府債務残高の対GDP比は1999年以降、主要先進国で最悪の状況が続いている。2012年の政府債務残高の対GDP比はギリシャが165.6%、イタリアが140.2%だが、日本は219.1%にも達する。
今や日本の一般政府債務残高は1000兆円を超え、現在の為替レート(1ドル99.1円)で換算すると10兆ドルを超える。日本人1人あたり約8万6200ドルの借金を背負っている計算になる。この状況は日本の財政法が定める均衡財政の原則に完全に反すると言える。
1947年公布の「財政法」は国債発行を明確に禁止している。1949年から1964年までの16会計年度、日本は財政収支均衡という法定原則を堅持した。日本の赤字国債発行は1975年度に始まった。これは石油危機による経常収支の赤字化が背景にある。財政赤字を補填するために発行する赤字国債を、財政法は認めていない。財政法の制約を突破して赤字国債を発行するために「特例法」が制定された。こうした「特例法」は1年に限って効力を持つ。このため日本の赤字国債は「特例国債」とも称される。だが実際には、1991年度から1993年度までの3会計年度を除き、日本は毎年赤字国債を発行しており、さながら「特例」が「慣例」に変わったかのようだ。