中国人富豪がプライベートジェットを購入するのは、以前は「自らの富を見せびらかす」ためであったが、今では、「プライベートジェットがあると海外との取引に便利だから」というのが主な理由となっているようだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)の報道を引用して参考消息網が伝えた。
プライベートジェット専門のローン会社グローバル・ジェット・キャピタルが取りまとめた統計データによると、過去5年間で、中国大陸部の利用者に対し、計255機のプライベートジェット購入という目的で計127億5千万ドル(1ドルは約112.7円)を融資したという。この数値は、その前の5年間の4倍に相当する。また、ガルフストリーム・エアロスペースやボーイング傘下のボーイング・ビジネス・ジェッツなどの企業が、これらの取引から利益を得ていた。
中国は2013年以降、腐敗撲滅・浪費一掃政策に取り組んできたが、中国大陸部でのプライベートジェット購入台数は急速に増え続けている。腐敗撲滅運動は続いているものの、中国政府が国内企業の海外拡張を推進していることから、運動に対する熱はだんだんと冷めてきている。調査会社ディール・ロジックの統計データによると、2016年、中国企業による海外M&A総額は2260億ドルと、史上最高額を記録した。
政府専用機の運航・管理に携わる華龍航空(本社:香港地区)の劉暢・総裁は、「人々は、今ではプライベートジェットを休暇用の贅沢なレジャーツールと見なすことはなくなり、交通手段の一つであると考えるようになった」と指摘する。
プライベートジェットの仲介機関である亜翔航空の羅世傑・董事総経理は、「2016年、中国大陸部でプライベートジェットを購入した人の半数が、中古の航空機を買ったことは注目すべき点だ。数年前までは、プライベートジェットを買う余裕がある大陸部のバイヤーの多くは、メンツを何よりも重んじていたため、中古を買うといった発想は皆無だった」と話した。
羅世傑氏は、「彼らは以前、他人が使用していた航空機を買うというやり方に慣れていなかったが、今では、コストパフォーマンスが最優先に考えられている」と続けた。
グローバル・ジェット・キャピタルは、このような傾向を踏まえ、中国大陸部における大型・中型航空機の発注量は今後10年間、年間90機に達すると予想している。
同社アジア販売担当のディビッド・ヘンダーソン董事総経理は、ファイナンスリースという方式が登場したことも、プライベートジェット購入増に一役買っていると指摘する。
ヘンダーソン氏は、「1200万ドルから1800万ドルのデポジットを支払うことができる中国企業なら、製作費6千万ドルの航空機を年間60万ドルでレンタルすることが可能だ」と続けた。
航空機仲介機関は、「最近のプライベートジェット購入者の中には、中国大陸部で急成長を遂げているハイテク分野の人々も多く含まれているが、これらの企業は、航空機購入者の氏名を決して公表しようとはしない。というのも、取引先から、世間で良く言われる『贅沢品』を購入したと思われるのが嫌だからだ」としている。
だが、プライベートジェット運航・管理会社の中国公務航空集団北京駐在主席執行長の廖学鋒氏によると、最近、プライベートジェットの販売において最も重点が置かれるのは、遠距離飛行に適しているか否かという点であり、機内の装飾が豪華かどうかということは問題外だという。
廖氏をはじめとする関係者は、「中国から米国への直行飛行が可能かどうか、多くの同行者の搭乗が可能か否かも、販売のキーポイントとなる。なぜなら、多くの関係者が同行するということが、中国のビジネス代表団の特徴となっているからだ」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年5月9日
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