同時に、消費の観念が変化して人々は物質の追求から旅行や娯楽などの消費の重視へと徐々に変化しており、これも小売産業の低迷を招いた原因だ。関連のビジネス機関が行った調査では、08年に金融危機が発生する前までは、消費の中心は住宅、自動車、衣類だった。だが最近では、消費者の興味は衣類から旅行や外食に移っている。21世紀になると、消費支出全体に占める衣類関係の割合は20%低下した。統計をみると、米国航空産業の旅客数は10年以降は増加を続けており、16年にはのべ8億2300万人に達して記録を更新した。外食産業も盛んに発展し、05~16年には外食サービス産業の売上高の増加率が外食を除くすべての小売産業の2倍に達した。最新のデータでは、米国の消費者が16年にレストランやバーで落としたお金が初めてデパートでの消費額を上回ったという。
また小売産業の経営理念と経営モデルに革新が足りないことも、小売産業が坂道を下っていった原因であることは確かだ。
米小売産業の低迷は米国経済にとって打撃だ。雇用について考えると、小売企業の店舗閉店のリスクが高まり、大量の失業者が出る恐れがある。小売産業の社員はレジ担当者と売り場担当者が中心で、大卒以上の学歴の人は20%ほどしかいない。EC産業は学歴への要求水準が高く、4年制大学卒業以上を求めるところがほとんどだ。そこで全米の小売産業で働く1590万人は学歴がネックになって失業する可能性が高い。こうした現象は米国の学歴による格差を一層拡大することになる。
当然のことながら、どんなことでもその発展にはいいことも悪いこともある。小売産業の低迷によって業界のモデル転換が加速して新たな競争が生まれており、別の角度からみれば米国経済の次なる発展を推進する可能性があるといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年5月27日
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