夏休みに入り、雲南省中医学病院には外国人の姿が増えた。10日、推拿(中国整体)の診察室には、患者から好奇の目で見られるのに既に慣れたというスペイン人の実習生Idairaさんがいた。中国新聞網が報じた。
Idairaさんは、スペインから来た中医学の医師で、欧州中医学基金会の援助を受けて、同病院で3週間の実習を受けている。
「中国の中医学の医師と外国人の実習者は、顔が違うだけ」。患者から好奇の目で見られることにどう対処しているかについて、Idairaさんはそのようにユーモラスに答え、「中国の医師に中医学の陰陽説について初めて教えてもらった時は、チンプンカンプンだった」という。
近年、中医薬が世界に進出し、高く評価されるようになるにつれ、その長い歴史を誇る医術を学ぶために中国に来る外国人が増加している。そして、Idairaさんと同じような外国人実習生は、「難しいけど、とても楽しい」と感じている。
「言葉が違うため、髒腑経絡や陰陽五行などの中医学の理論を理解するというのは、至難の業」。Idairaさんは、西洋医学から中医学へ舵を切ることの難しさを率直に語る。「約300個のつぼの名前を覚えるだけでも頭が痛い。針灸のノウハウを学ぶためには、自分を実験台にするしかない」とIdairaさん。
「中医学のおかげで、今健康な状態でここに立っていられる」。そう話すのは同じくスペインから来たMiguelさんで、「10代の時に交通事故に遭い、中医学の不思議な效果を実感してから中医学に夢中になった」という。元々建築家だったMiguelさんは、8年前から中医学の勉強を始め、今はスペインで中医学診療所を開いている。
Miguelさんは、 「一番難しいのは文化の差。外国人にとって、中医学を学ぶ時に一番難しいのが、『弁証施治』という思考を理解すること。西洋医学は、人の体を部分的に見るのに対して、中医学は常に人の体の全体を見る。中医学の勉強は、『悟り』の過程」と話す。
IdairaさんやMiguelさんらと一緒に来たスペインの中医学の実習生らは、「中医学を学ぶのは難しいものの、中医学の効果に向き合う人が増えており、とてもうれしい」と話す。
Miguelさんによると、「現在、スペインの患者の30%が中医学による治療を選択する。中医学は中国だけでなく、世界の宝」だ。
外国人の実習生が増え、中国の中医学の医師にも変化を与えている。1990年代初めから外国人に中医学を教えている雲南省中医学病院針灸科の梁清・副主任医師によると、「外国から来た実習生を連れている時は、患者の気持ちも違う」という。
そして、「外国人が中医学を学ぶために中国に来ているのを見ると、患者たちも知らず知らずのうちに誇らしい気持ちになる」としながらも、「実習に来る外国人たちのレベルもどんどん上がっており、危機感さえ感じている」という。
「中国に勉強に来る外国人のほとんどは、心から中医学が好きで、中国の学生よりも真剣に学ぶ人もいる。真剣な外国人実習生から難しい質問をされると、私もプレッシャーを感じる」という。
その他、「今週水曜日、フランスから実習生の団体が来る。中医学の精華を外国人に喜んで伝えたい。また、中医学のメリットを一人でも多くの人に見てもらいたい」と話した。
雲南省中医学病院の統計によると、近年、同病院は30以上の国や地域から来た約200人の外国人実習生を受け入れているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年7月17日
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