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INF全廃条約、米露の争いが一層激化

人民網日本語版 2019年02月11日16:05

米国務省は先日、中距離核戦力(INF)全廃条約の義務履行を2日付で停止し、同条約からの離脱手続きを開始すると宣言した。ロシアのプーチン大統領も直ちに対抗姿勢を示し、同じく条約の義務履行を停止し、これ以上新たな国際交渉も提案しないと宣言した。米国のINF全廃条約離脱をめぐり激化し続ける米露間の争いによって、両国関係の一層の悪化が浮き彫りになったと指摘される。また、米国の条約離脱によって、世界の核戦力規制に向けた国際社会の努力は挫折し、新たな核軍拡競争が引き起こされる可能性もある。

INF全廃条約からの離脱という米政府の決定に、米国内では強い反対の声が上がっている。ペロシ下院議長はポンペオ国務長官による離脱表明後、「現在政府は軍拡競争を引き起こす危険を冒して、世界の安全と安定を破壊している」との声明を発表した。クリントン元国務長官は6日「米側は本来、もっと外交的手段を講じて問題を解決すべきだった。今や、ロシアといかなる形式の合意もないままINF全廃条約から離脱したことで、国際情勢の予測不可能性が高まった」と述べた。

国際社会にも懸念が広がっている。中国外交部(外務省)の耿爽報道官は「軍備管理・軍縮分野の重要な二国間条約であるINF全廃条約は、大国間関係の緩和、世界と地域の平和増進、世界の戦略的均衡と安定の維持にとって非常に重要な意義を持つ」と指摘。「中国側は条約からの離脱という米側の行為に反対する。建設的対話を通じて、意見の相違を適切に解決するよう米露双方に促す」表明した。

仏独両政府も、INF全廃条約を維持し、対話を続けるよう相次いで呼びかけた。フランス外務省は声明で「軍備制限条約は戦略的安定性の確保に資する。フランスはロシアと米国に対して、新戦略兵器削減条約(新START)を2021年以降まで延長するとともに、後続条約について協議を行うよう促す」とした。ドイツのメルケル首相はINF全廃条約についてロシアとの対話を6カ月間継続すると表明。「交渉の窓口はオープンであり続けるべきだ。ドイツは6カ月間に再び対話が可能となるよう、あらゆる努力を尽くす」とした。

「米政府のINF全廃条約離脱によって、欧州は冷戦時代の軍拡競争の状態に戻りかねず、アジア地域も緊張が激化しうる」。米誌フォーチュンは、中でも最も緊張が高まるのは米露対立の最前線にあるドイツだと指摘した。フランス側も欧州の安全保障と戦略的均衡にとってINF全廃条約が極めて重要であることを米側に強調した。

米国がINF全廃条約から離脱すると、米露間の軍備制限条約は2010年調印の新STARTのみとなる。双方の配備する核弾頭及びその運搬手段の数量を制限する同条約は2021年に期限を迎える。その後延長されるか否かの見通しは楽観を許さない。米紙ワシントン・ポストは「たとえ冷戦中でも、両国は軍備規制で合意することに成功した。今回米国がINF全廃条約からの離脱を宣言したことで、米露関係が悪化し続けていることが浮き彫りになった。また、米政府が国際協力を再び無視したことが示され、核軍拡競争への国際社会の懸念を引き起こした」と指摘した。

米誌『原子力科学者会報』のレイチェル・ブロンソン社長兼CEOは、条約履行の停止という米国の決定に懸念を表明。「INF全廃条約は世界を安全な場所にした、画期的意義を持つ条約だ。米国の条約離脱によって世界は『戦略的に不安定な時代』に入り、核兵器拡散の危険性が急速に高まっている」と指摘した。(編集NA)

「人民網日本語版」2019年2月11日

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