スウェーデンの平均年齢67歳という「世界最年長」のエレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)チームが注目を集めている。メンバー5人は、最年少が57歳、最年長が75歳と年長ながら、若い人の集まる競技場で活躍した。公式宣伝写真も非常にクールで、銀髪に黒い服、胸元にチーム名「シルバースナイパーズ」のマークが燦然と輝く。
シルバーの競技チームから高齢のネット有名人まで、高齢者が生き生きしたイメージをともなって、かつて「若者の縄張り」とみなされてきたインターネット領域に進出するのはもはや珍しいことではない。グーグルと市場調査会社イプソスの合同調査によると、67歳以上の米国人の59%は一日に少なくとも1回SNSにアクセスする。日本の総務省が発表した報告では、高齢者はハイテク製品とスマート製品の有力な消費層に成長しつつあるという。
高齢者がより時流に乗ったライフスタイルを模索し始め、巨大な「シルバー市場」が静かに形成されつつある。国連のデータでは、2015年には世界の60歳以上の人口は9億人にとどまったが、50年になると21億人に急増する見込みだ。これはつまり5人に1人が60歳以上になるということだ。米メリルリンチの予想によると、世界では50歳以上の人口の占める割合が00年の17.8%から50年は33.5%に増加し、世界の「シルバー経済」の規模は20年に15兆ドルに達するという。米経済誌「フォーチュン」の指摘では、バイオテクノロジー、スマート設備、製薬、介護サービスの分野での一連の新製品は重点的に高齢の消費者を対象としたものになるという。
インターネット時代に、シルバー経済がますます「スマート」になっていることが大きな注目点となっている。米国カリフォルニ大学ロサンゼルス校にある病院では、医療用ロボットが毎日平均185キロメートルを動き回り、患者に薬や食事を届けるだけでなく、ベッドを整えたり、医療ゴミを整理したりしている。日本では家庭用介護ロボット7万台以上が家庭で高齢者の世話をしている。またアルツハイマー病の患者の位置を追跡できる装置、高齢者の転倒リスクを計測できるウェアラブル機器、スマートホーム設備が次々と市場に登場し、高齢者の生活の質を改善するとともに、市場にさらなる活力をもたらしている。
シルバー経済は社会変革の新たな原動力になる可能性もある。日本のシルバー経済のハイテクレベルやスマート化レベルは世界トップクラスで、16年には「超スマート社会」の構築を提起し、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ技術を利用して、すべての人々に多様な製品とサービスを提供し、少子高齢化が日本社会にもたらす挑戦を緩和しようとしてきた。昨年2月、日本政府は3回目の改定作業を終えた「高齢社会対策大綱」の中で「エイジレス社会」の構築を提起。これは年齢による区切りをやめ、個人の意欲と能力によって生き方を選択できる社会のことで、政府は働く環境を改善して高齢者にふさわしい雇用機会が与えられるようにする必要がある。「スマート」でも「エイジレス」でも、最終的に全面的実現を果たせば、高齢者だけでなく、社会全体が利益を受けることになる。
シルバー層は時代遅れの人々ではない。シルバーはより多くのスマート製品を必要とするだけでなく、より多くのスマートな社会管理モデルを求めている。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年4月1日