高齢化が進む日本 介護はロボットに依存?

人民網日本語版 2019年04月03日09:30

日本は世界でも高齢化が最も進んだ国の一つで、65歳以上の高齢者の占める割合が27.7%、75歳以上は13.8%にも上る。予想では、2025年には75歳以上が18%に達するという。高齢化にともなう介護の圧力を緩和するため、政府のさまざまな機関が企業と連携して各種の介護ロボットの開発を進めている。

オープンスタイルの客間で、テーブルの片側に高齢者が4人座っている。説明を行うロボットが、「秋は紅葉を楽しむのにベストのシーズンです」と話し終わるやいなや、テレビモニターが日本各地の紅葉の様子を映し出している。これは東京都大田区にある老人ホーム「サンタフェガーデンヒルズ」での情景だ。このホームは介護用ベッド数が約300、障害者用ベッド数が40、ショートステイ定員が65人という。

ホームは高級ホテルの標準的な内装を参考にし、どの階も清潔できちんと整えられ、澄んだ空気が流れている。ここに暮らすのは生活上の困難を抱えた高齢者が多いが、消毒、除菌、除臭機能を一体化した設備が設置され、モニタリングロボット、リハビリロボット、省力ロボット、コミュニケーションロボットなど各種ロボットが多数配置されたことで、いつでも清潔で秩序ある状態が保たれている。

これまでの老人ホームは高齢者の身体状況を記録するのに膨大な精力と時間を費やしてきた。運営会社の善光会の宮本隆史最高執行責任者は、「こうした状況は今や大きく改善された。介護者は携帯電話のアプリケーションを開き、音声認識機能で関連データを記録できるようになった。それだけでなく、スマートクッションと天井に設置されたスマート設備が高齢者の生活リズムを起床から就寝までリアルタイムで記録し、身体の状況もリアルタイムで記録して、データを介護者のスマートフォンに送信する。介護者は夜間も部屋を巡回する必要はなく、スマホを定期的にチェックすれば高齢者の状態を把握できる。熟睡しているか、ベッドの上で寝返りを打っているか、ベッドを離れて起きているかなどがわかる。こうすれば休んでいる高齢者を煩わせることもなく、労働力も大幅に節約できる。夜間でも介護者1人で高齢者20人の世話が可能だ。同社にはシステムエンジニアが8人いて、各種応用ソフトの開発とメンテナンスを担当したり、メーカーと連携して介護施設に最新のロボットを導入したりしている。

人口高齢化がますます激化し、日本の介護サービス産業は深刻な人手不足に陥った。厚生労働省の予想では、25年には介護産業は34万人の人手不足になるという。善光会は09年に介護施設への各種ロボット導入を検討し始めた。日本の介護産業では介護者と介護を必要とする高齢者の割合は1対2が一般的だが、善光会の施設ではロボットを導入したことで1対2.7になったという。

日本の大企業の多くが1990年代に介護事業に着手。パナソニックは98年に介護事業の子会社を設立し、日本各地で事業を展開する。現在は介護サービス事務所が295ヶ所、介護施設が53ヶ所、介護用品店が126ヶ所に上る。在宅介護に適した総合的ソリューションを提供するだけでなく、各種の介護設備の販売・リースも手がけ、在宅介護の当事者に安心を提供している。18年下半期には傘下の介護施設・エイジフリー約140ヶ所でパナソニックが開発した最新のモノのインターネット(IoT)介護システムを導入。導入後、介護者は高齢者の心拍数や呼吸などの身体データをすぐに把握できるようになり、データは人工知能(AI)の分析を経て、より詳細で精密な介護プランを制定するのに役立っている。また高齢者に熱中症、脱水症状、夜間にベッドから落ちるなどの突発的事態が起きれば、すばやく発見して対処することが可能だ。

日本の矢野経済研究所が発表した調査結果によれば、介護ロボットの日本市場での規模は19億3200万円で、21年は37億6500万円に達する見込みだ。ただ日本は介護ロボットの価格が相対的に高く、なかなか普及しないという問題に引き続き直面している。そこでより多くの高齢者にロボットを使ってもらえるように、多くのメーカーがあの手この手で価格を引き下げる努力をしている。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年4月3日

  

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