日本でミステリー映画が大人気の理由は? (2)

人民網日本語版 2019年04月29日11:34

ミステリー小説からドラマへ、映画へと、商業化された視聴者の市場において何度もふるいにかけられた作品は、一定の観客数が確保されており、作品の質も保証されている。またベストセラー小説や人気ドラマをどのように映画化するかという話題性で引っ張ることもできる。

▽推理だけではない——社会派の人間を描く力とドラマ力

日本の人気ミステリー映画には、初期の「砂の器」や「人間の証明」から最近の「容疑者Xの献身」、「白夜行」、新参者シリーズまでいろいろな作品がある。どの作品にも、親子の情、友情、愛情などからやむにやまれず起こしてしまった犯罪ドラマが描かれている。

「気持ちが人を感動させる」。これがミステリー映画が幅広く市場を獲得できた重要な原因であり、複雑で紆余曲折に富んだ事件の推理プロセスによるものではない。人気映画のほとんどが社会派ミステリー小説を原作とする。社会派ミステリーには感情、人間性、倫理観、社会の現実が描かれており、作品に深みを与えるだけでなく、一般の観客の心を揺り動かし共鳴させることができる。

ミステリー小説の別の流派の市場と比べるとこのことがよくわかる。純粋な本格推理小説とその後継である変格推理小説は、市場の規模が小さく、波及力にも限界があり、一部のマニアを引きつけるだけだ。

松本清張が確立した社会派ミステリーは、単純な「謎をちりばめ、誤った手がかりを与え、最後に探偵が謎解きをする」というミステリーの定石にとどまらず、ストーリーの中に社会の現実、人間の複雑さ、登場人物の感情を織り込んで、ミステリーファン以外にも読者の幅を広げ、物語の世界から抜け出せないほど虜にし、最終的にミステリーというジャンルを大いに流行らせた。松本清張の作品を通して、人々はミステリーのもつ文化的潜在力と潜在的波及力に気づき、ミステリーはこのように深いもので、これほど多くの読者を引き付けるものだと実感させてくれる。

今の日本で最も人気があるミステリーの書き手は東野圭吾で、本格派と社会派のよいところを取り入れている。東野作品で推理は容器に過ぎず、より豊かに質感をもって描かれるのは社会の現実だ。こうして謎解きと感情が密接に、より有機的に絡み合う東野ワールドが出現する。「祈りの幕が下りる時」などは、推理プロセスは忘れても、親子の深く無私の愛情や絆のドラマは記憶に残る。

こうした作品には決まって非常に魅力的なキャラクターと複雑な内面を備えた探偵役が登場する。

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