中国の基礎研究経費、初めて1000億元の大台を突破

人民網日本語版 2019年09月04日14:16

中国が2018年に投入した研究・試験発展経費は前年比2017億8000万元増(11.8%増)の1兆9677億9000万元に達した。基礎研究経費は初めて1000億元の大台を突破し、1090億4000万元に達した。研究開発経費との同時成長を維持した。科技日報が伝えた。

「2018年全国科学技術経費投入統計公報」がこのほど発表され、この2つのデータが注目を集めている。北京化工大学元副学長の陳冬生教授は、取材に対し「現在の経済・財政の情勢のもと、研究開発経費が依然として2桁台の成長率を維持できたのは得難いことだ」と述べた。

国家統計局社科文司の統計家である李胤氏は次のように公報を読み解いた。「基礎研究経費が1000億元を突破し、3大主体がいずれも速い成長を実現した。基礎研究経費において、大学は前年比11.1%増の589億9000万元で、政府所属研究機関は10.1%増の423億1000万元、企業は15.7%増の33億5000万元。うち大学の社会全体基礎研究経費の増加に対する寄与度は51.1%で、基礎研究投資の主体となっている」

国務院発展研究センター革新発展研究部研究員の呂薇氏は、取材に対し「国内外の実践を見ると、大学と科学研究院(研究所)は基礎研究の主体だ。統計データによると、中国の基礎研究経費の支出の圧倒的多数も、大学と政府所属研究機関からとなっている。中国の基礎研究投資は現在、依然として中央財政が中心だ。世界の主要科学技術大国と比べると、中国の基礎研究投資の出処が単一的で、投入強度も低めだ。革新型国家、世界の科学技術強国の建設という目標の達成にはまだ開きがある」と話した。

陳氏は「現在の中国経済は発展方法のモデルチェンジ、経済構造の最適化、成長原動力の転換の時期にある。経済の安定運営を維持し、質の高い発展を促進するためには、革新駆動型発展戦略の実施が必要だ。複雑かつ厳しい国際情勢を見据え、基礎研究の重要性がより際立っている」と指摘した。

「我々には、基礎研究を強化し、中国のオリジナルの革新力を高める切実な需要がある」。呂氏にとって喜ばしいのは、中央財政が投資拡大を維持すると同時に、企業、特に業界の技術の先端に位置する企業も基礎研究を重視し始めていることだ。特に「無人地帯」に足を踏み入れる一部の企業は、オリジナルの革新に取り組むため基礎研究のサポートを必要としている。例えば華為(ファーウェイ)は世界で複数の共同イノベーションセンターを設立している。

公報が示す通り、2018年の企業の基礎研究経費は前年比15.7%増の33億5000万元にのぼった。呂氏もリサーチにより、企業の基礎研究への投資が小規模であるが急成長しており、社会全体基礎研究の約3%を占めていることを明らかにした。

基礎研究の投入強度が低いだけでなく、中国の研究開発経費の投入強度(対GDP比)は米国(2.79%)や日本(3.21%)などの世界の科技強国に大きな差をつけられている。李氏は「基礎研究、政府資金の割合が低いといった問題が依然として目立っている。キーとなるコア技術を確立し、ボトルネックを解消するための重要な科学技術成果が依然として不足している。投資の効率をさらに高める必要がある」と指摘した。(編集YF)

「人民網日本語版」2019年9月4日

  

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