中国のチームが上部消化管腫瘍内視鏡AI(人工知能)診断補助システムを開発した。中山大学腫瘍対策センターは8日、同システムのがん化診断の精度が96%にのぼると発表した。関連研究成果は腫瘍学の学術誌「The Lancet Oncology」(電子版)に掲載された。中国新聞網が伝えた。
中国国家がんセンターの統計データによると、世界の約50%の上部消化管がん(食道がんや胃がんを含む)は中国で生じており、うち85%以上が診断確定時にすでに中・後期に至っている。早期上部消化管がん患者の5年内の生存率は90%を超えるが、末期患者の場合は10%以下。
そのため上部消化管がんの早期診断・早期治療は、治療効果を高めるカギだ。しかし中国内陸部では内視鏡医師が不足しており、早期上部消化管がんには通常、内視鏡的特徴が不足し、診断漏れが起きやすい。そのため中国内陸部では、上部消化管がんの早期診断率が10%以下となっている。
この臨床上の難題を解消するべく、中山大学腫瘍対策センターの徐瑞華センター長を始めとする数十人の専門家でつくるチームは、多学科共同で研究開発に取り組んだ。これにより完全に独自の知的財産権を持つ上部消化管がん内視鏡AI診断補助システムを開発した。
それまで撮影されていた、上部消化管がん患者の5万枚以上の内視鏡画像や健常者の12万枚以上の内視鏡画像の識別とディープラーニングにより、同システムのがん化診断の精度が96%に達した。
徐氏によると、同システムはリアルタイム生検部位の正確な注意や内視鏡検査スマート品質コントロール、画像自動取得などの機能を持つ。医師が内視鏡検査を行うと同時に自動的に画像を取得し、クラウドAI分析を行い、患部と疑わしい部分に対してリアルタイムで注意を促す。臨床捜査において、同システムはさらにガイドに基づき自動的に画像を取得・保存する。これにより医師が二つの作業に気を取られることで、重要情報を見落とす可能性を減らす。
同システムの第1弾はすでに、広東省揭陽市人民病院、江西省腫瘍病院などで応用されている。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年10月9日