▽RCEP 全面的、近代的、高い品質、互恵
グローバル情勢と地域内の各国の特徴を踏まえているため、RCEPは他にはない特色を備えるものになったといえる。RCEPが全面的であるというのは、世界貿易機関(WTO)の枠組と異なり、投資参入や関連のルールを包括するものだからだ。
多国籍投資が貿易の発展を牽引する時代には、直接投資により大きな注目が集まるのは当然のことだ。RCEPが互恵を強調するのは、ラオス、ミャンマー、カンボジアなど後発開発途上国の過渡期への配慮があるからだ。
東アジア地域の貿易協定の中で、発展レベルが低い国はいつも一定の例外措置を与えられ、地域内の経済が発達した中国、日本、韓国などはルールの同ペースでの一体化を強制したり要求したりはしてこなかった。ラオス、ミャンマー、カンボジアのような国の経済規模と貿易規模をみれば、こうした例外措置は受け入れ可能だともいえる。
同時に、長年にわたり地域で構築されてきた自由貿易にプラスになる規範が役割を果たしてきた。こうした規範は国内の反対勢力を説得するときにとても重要になるということも考えなければならない。
一方、南アジア地域には長らく、東アジアのような地域経済一体化プロセスがなく、ほとんどの国の最大の貿易パートナーは地域外にあるような状況だった。インドでも最大の貿易パートナーは遙かに遠い米国だ。そのようなわけでモディ首相は国内の反対派に立ち向かう時に、説得できるだけの規範となるパワーをもつことができなかった。
また、インドの離脱はWTOのパスカル・ラミー前事務局長の判断の正しさを物語る。ラミー氏は、「現代の貿易自由化は技術が駆動するだけでなく、政府の政策の管理コントロールや消費者文化の影響も受ける」としていた。有名なインド系米国人の経済学者のジャグディーシュ・バグワティー氏はインドの反対派に対し、「彼ら反対派がみな現代経済学を受け入れることができれば、私も優れたインド舞踊家になれるだろう」とチクリと刺した。
中国人はより高いスタート地点に立ってRCEPに対処し、RCEP協定は貿易協定の近代性と高い品質を体現するとみている。交渉はまだ最終段階の文書検討の段階にあるため、協定の条文を詳細に検討することはできないが、明らかにされた情報によると、協定は高い品質のものであり、それは主に2つの部分に体現される。まずRCEPは物品貿易の割合が90%以上に達し、WTOの加盟各国の開放水準よりももっと高い水準が要求されている。また投資については、ネガティブリスト方式で投資参入交渉が行われている。