外貨準備高はその国が蓄えた外貨の資産を示す。2019年末現在、中国の外貨準備高は年初に比べて352億ドル(1ドルは約108.4円)増加した。通年のデータを振り返ってわかるのは、外貨準備高が常に3兆ドル以上で安定し、全体として安定傾向の中で増加したことだ。「経済日報」が伝えた。
この動きは何を意味するか。外貨準備はある国の経済・金融の「安定化装置」だ。中国民生銀行の温彬・首席研究員は1997年のアジア通貨危機を振り返って、「当時、タイは金融市場の開放を背景に、海外機関の空売りに直面した際、十分な外貨準備がなく投げ売りされたタイバーツを買い戻すことができなかったため、バーツの暴落を招き、越境資金が大量に流出し、国内の経済・金融に激震が走るとともに、東南アジア全域に広がる金融危機を引き起こした」と述べた。
当面の錯綜する複雑な国際環境の中で、中国が改革開放と発展を推進し、国の経済の安全を保障するには、相当な規模の外貨準備を用意して万が一に備え、外部からの衝撃に対抗するためのマクロ調整能力を確保する必要がある。まさに大量の外貨準備があったからこそ、中国は08年の世界金融危機をはじめとする外からの大きな衝撃に対抗し、自国のために経済構造の調整とモデル転換・バージョンアップに必要な良好な外部条件を維持することができた。
外貨準備はその国の経済の基本的側面とも密接なつながりがある。温氏は、「中国経済は全体的に安定しており、安定傾向の中で成長するという発展傾向を維持し、中国内外のリスクの予防・解消に対して積極的な成果を上げ、主要な経済・金融指標は合理的な範囲で運営され、外貨準備高の安定維持に着実な基礎を打ち立てた」との見方を示した。
改革開放がスタートしてから、中国経済は高度成長を続け、対外貿易規模も外資導入規模も急速に拡大した。92年初めの外貨準備高は217億ドルしかなかったが、その後、中国経済が発展するのにともなって、外貨準備高も急速に増加し、19年は3兆ドル以上で安定的に推移した。現在、外貨準備が安定を維持していることは、中国経済の基本的側面が好転していることの重要な現れだ。
一般の人々にとって、十分な外貨準備があればあらゆるタイミングのあらゆる場所への海外旅行における外貨ニーズを満たすこともできる。
北京に住む李さんは19年に親と子どもを連れて英国旅行に出かける前、招商銀行北京金融街支店で人民元を外貨に両替した。「すごく便利で、予約の必要もなかった。銀行で聞くと2千ポンド(1ポンドは約142.6円)までならすぐ両替できるということだった。また高額紙幣を50ポンドの小額紙幣に交換してくれ、使いやすくしてくれた」という。
温氏は、「個人の所得水準が向上するのにともない、海外旅行に出かける人がますます増えている。十分な外貨準備があれば、国民の通常の外貨利用ニーズを満たせ、人々の『幸福指数』を引き上げることができる」との見方を示した。
温氏は20年の外貨準備の動きについて、「今年もグローバル政治・経済の不確定要因、不安定要因が依然として多いが、経済が安定傾向の中で好調さを維持するという流れには変化がない。小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成で勝利を収めるため、各種の改革開放措置を引き続き深く推進し、政策のボーナスを還元していく。外貨管理については、国際収支の基本的なバランスを保障し、貿易投資、国際収支構造、国境を越えた資本流動などの政策ツールボックスを徐々に豊富にしていき、各種のリスクの衝撃に対抗できる能力を完全に備えており、中国の外貨準備資産の安全性、流動性のスムーズさ、価値の維持・ 向上を保障していく」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年1月9日