大ヒット中の台湾地区のドラマ「想見你(Someday or One Day)」は16日に最終回を迎えた。現在、コミュニティサイト・豆瓣のレビューは9.1ポイントと、近年では珍しい非常に評価の高いヒット作となった。同ドラマは、カセットテープで音楽を聞く主人公たちが、1998年や2019年にタイムスリップし、それぞれの愛を探すストーリーだ。恋愛、サスペンス、ファンタジーなどの要素が一つになったこの作品を見ると、初めのうちは新鮮味がないと感じるかもしれないが、ストーリーが進むにつれて、おもしろみが増していく。一つ一つのシーンを表面的に見れば何の変哲もないかもしれないが、そこにはたくさんの意味が込められている可能性があり、噛めば噛むほど味わい深くなる作品となっている。人民網が報じた。
評者である脂硯齋は中国長篇章回式白話小説「紅楼夢」に対する評価の中で、作者・曹雪芹の独特の手法について、「伏線が張り巡らされている」ことを挙げている。「紅楼夢」は完結しておらず、今流通しているものは一部内容が削減されているが、前文にはたくさんの伏線が張り巡らされているため、後の世代の同作品を専門に研究する紅学家たちが、考証したり、想像を膨らませたりする余地がたくさん残されており、それが読者にとってもおもしろい要素となっている。
「想見你」でもたくさんの「伏線が張り巡らされている」。日記に書かれている文字は、前後で異なり、タイムスリップに使われるポータブルカセットプレーヤーにはたくさんの傷がついている。そして、写真に映る男女のポーズには微妙な違いがある。それらは一時停止して、じっくり見なければ気が付かないことだ。一見、矛盾しているように感じる要素を、視聴者らはゆっくりと「噛み」、ドラマに出てくる3つの時代を分析し、その背後にある意味を「味わって」いる。
視聴者がじっくりと味わい、想像を膨らませることができる空間を残しておくというのが、最もおもしろいドラマの作り方かもしれない。「想見你」のプロデューサー・麻怡■(■は女へんに亭)はあるメディアの取材に対して、「陳韵如が初めに登場するシーンには、カセットテープや卓上カレンダーなど、1998年の要素が映っている。スポンサーは必要ないと言っていたものの、製作チームはそれを使うことにした。異なる時代にタイムスリップする作品なので、このような初めに登場するシーンを視聴者が見て、時代が異なることを感じてもらい、いろいろ考えてもらいたかった」と説明している。
視聴者に想像できる余地を残すという手法が、製作者と視聴者の距離を縮めている。製作者は、コピー版のやり取りを禁じる最後の言葉の中で、「この旅があったからこそ、たくさんの神推測、神解析、神画像製作、神動画に出会うことができた。この旅があったからこそ、『想見你』の最初の目的を成し遂げることができた」と述べている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年2月19日