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拡散するのはウイルスだけじゃない!デマの拡散にも要注意!

人民網日本語版 2020年02月19日10:05

新型コロナウイルス肺炎による感染がなおも拡大するなか、真偽を見極めがたいデマが次々拡散されている。煮洗いすることでマスクを再利用、喫煙でウイルス感染を予防、アルコール度数の高い酒を飲めばウイルスの活性を消失できるなど。このほど複数の専門家が取材に応じ、新型コロナウイルスによる肺炎に関するデマを否定した。ここではそんなデマの数々について紹介していこう。

◆煮洗い、アルコール消毒、紫外線照射…ウイルス対策マスクの再利用は可能か?

ウイルス流行の持続的な拡大に伴い、市場ではN95(KN95)、サージカルマスクなどのウイルス対策マスクが依然として不足しており、多くの家庭ではマスクが底をつこうとしている。蒸す、もしくは煮洗いすることでマスクを再利用できるだろうか。

教育部(省)産業用紡績品工程センター副センター長、東華大学非績造材料・工程学部の靳向煜教授は「これは不可能だ。N95もサージカルマスクも、ウイルス対策の手段はフィルターによるウイルスなどの微粒子(煙霧質)の吸着・遮断となっている。フィルターは主にPPメルトブローン超極細繊維でできている。マスクのフィルターはエレクトレット処理を受け、微量の電荷を帯びるようになる。これによりふわふわとした状態で、効果的に空気中の各種微粒子を吸着できる」と指摘した。

蒸すにせよ煮洗いするにせよ、水が入ることでフィルターの電荷が急速に失われ、ろ過効果が大幅に低下することは間違いない。またPPメルトブローンは非常に細く、髪の毛の十数分の一ほどで、平均2ミクロン前後しかない。高温に弱く、温度が80度を上回ると収縮・変形を起こし、構造が破壊され、防護効果が低下する。>>

◆度数の高い酒でウイルス活性が消失?

国家衛生健康委員会ハイレベル専門家チームメンバーを務める中国工程院院士の李蘭娟氏は取材に対し、「75%の(医療用)アルコールはこのウイルスを殺滅できる。そのためこれを購入し、頻繁に触れる部分を定期的に消毒するのも良いだろう」と述べた。

しかし李氏はインタビューで「飲酒」については言及せず、医療用アルコールで携帯電話を拭き、両手を消毒するのは効果的と指摘しただけだ。

我々が頻繁に口にする「度数の高い白酒」の度数は50−60%の間で、殺滅能力は決して高くない。またコロナウイルスの感染は呼吸器を経由する。飲酒は消化器に入る。腹に入った酒はすぐに吸収され血液中に入り、代謝によって分解される。ウイルスと接触する機会はなく、抗ウイルス効果を持つことはあり得ない。>>

◆喫煙でウイルス感染を予防できる?

首都医科大学宣武病院胸部外科首席専門家の支修益氏は取材に対し、「この説には科学的な根拠がない。あるヘビースモーカーは喫煙期間が長く、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などを患っており、もともと抵抗力が低いため、どの疾患にかかる確率も、非喫煙者を大幅に上回る」と述べた。

科学普及類微信アカウント「果殻」もデマを否定し、「喫煙はウイルス感染を予防できないばかりか、体の抵抗力を弱める。喫煙の際に手が何度も口と鼻にふれるため、ウイルスが体内に入りやすくなる。喫煙中にマスクを着用できなくなるため、自身への保護も不十分になる」と指摘した。

◆塩水でうがいすればウイルス感染を予防できる?

広州医科大学付属第一病院は微博(ウェイボー)公式アカウントで、「当院の鐘南山院士のチームが正式にデマを否定した。塩水のうがいは口腔と喉の洗浄に有益で、咽頭炎に効果的だ。しかし新型コロナウイルスは呼吸器に進入するため、うがいでは呼吸器を洗浄できない。次に、塩水が新型コロナウイルスに対して殺滅作用を持つとする研究結果は出ていない」と指摘した。

生活における塩による防腐は、浸透圧の差の原理を利用したものだ。高濃度の塩水は細胞質を細胞外に移動させ、細胞から水を抜き死亡させる。しかし塩水のうがいで新型コロナウイルスを予防するのは非現実的だ。

まず、コロナウイルスは主に呼吸器の粘膜を通じ体内に入る。うがいで洗浄できるのは消化器で、解剖の部位を見ればまったく異なる。次に、コロナウイルスはいずれもRNA分子と外膜タンパクからできており、細菌のような整った細胞構造を持たない。そのため浸透圧の殺菌の原理は無効だ。最後に、うがいに用いられるのは一般的に薄い塩水で、殺菌できる濃度に達するのが難しい。濃度を高く作ったとしても、うがい後に絶えず分泌される唾液によって急速に薄れてしまう。

◆防疫期間中 定期妊婦健診の回数を減らすべきか?

首都医科大学付属北京産婦人科病院の産婦人科副主任を務める主任医師の丁新氏は取材に対し、「定期妊婦健診は非常に必要だ。妊婦の血圧や血糖などの指標、及び胎児の異常をチェックできる。新型コロナウイルスの感染が広がるこの特殊な時期であっても、妊婦の健診の回数を減らすことを提案しない」と述べた。

それでは妊婦は病院で診察を受ける前と診察中、帰宅した後、どのような防護措置を講じるべきだろうか。丁氏によると、妊婦自身の防護は非常に重要であり、N95もしくはKN95マスク、医療用サージカルマスクなど防護効果の優れたマスクを使用したほうがベストで、さらに手袋も使用できる。病院に滞在する時間を減らすように、妊婦は健診前に医師と時間を約束するか、人の多い時間を避けて診察してもらう。病院に行く際、公共交通機関を利用すべきではない。病院で健診を待つ間、他人、病院の機械、手すり、座席などとの接触を減らすよう注意する。接触感染を防ぐため、手洗いと消毒をする前に口・鼻・目などに極力触れないようにする。帰宅後は丁寧に手洗いをし、コートを風通しが良く日照のある場所に一定時間干すことに注意すべきだ。>>

◆新型コロナウイルス、煙霧質で感染するか?

中国疾病予防管理センターの馮録召研究員は2月9日、国務院共同予防・管理メカニズム記者会見において、「新型コロナウイルスが煙霧質により感染するかについては現在、さらなる確認が必要だ。一般的には大気中にウイルスは存在しないが、人々には毎日窓を開け換気するよう提案する」と述べた。

馮氏は「いわゆる煙霧質による感染は、飛沫が空気中に漂う間に水分を失い、残されたタンパク質と病原体が飛沫核を形成し、より遠くに飛んでいくことだ。新型コロナウイルスが煙霧質により感染することを示す証拠は今の所ない」と説明した。

馮氏はさらに、「新型コロナウイルスの現在最も主要な感染ルートは、近距離の飛沫感染と接触感染だ。近距離の飛沫感染、会話、せき、くしゃみによる飛沫は通常、1−2メートルしか広がらず、そして空気中を長く漂うこともない」と続けた。

また新型コロナウイルスが煙霧質により拡散するとしても、空気中で生存する時間は限定的だ。武漢大学医学部ウイルス研究所の楊占秋教授は「空気中にさらされるウイルスは媒介役がなければ、24−48時間内に活性を失い、感染を引き起こすことができなくなる。現在の環境における気温や湿度も、ウイルスの生存時間に影響を及ぼす。例えば気温が上がるほどその空気中における生存時間が短くなる」と話した。

複数の専門家は、現在の対策はすでに煙霧質による感染の可能性を考慮していると述べた。一般の人の予防策は飛沫感染対策と同じで、マスクを正確に着用すれば良いという。>>

◆大雪でウイルスが「凍死」する?

2月13日より強い寒波が襲来し、中国中東部地域は今冬最大の降雨・降雪を迎え、全国各地の気温が急激に低下している。これに伴い「大雪でウイルスが凍死する」という説が唱えられている。中国気象局中央気象台は微博公式アカウントで「楽観的すぎる!ウイルスは寒く乾燥した空気のほうを好む」とコメントした。

実際のところ、降雪にはウイルスの拡散に対してプラスの面とマイナスの面がある。プラスの面として、降雪は空気を清潔にすることができる。これは雪が空気中を漂う粒子状物質を効果的に沈降させるためで、これらの粒子状物質内にウイルスや細菌が潜んでいる場合が多い。そのため降雪後は通常、大気質が良くなり、安心して胸いっぱい息を吸うことができる。

その一方で、大雪による気温低下は逆にウイルスの体内侵入にはプラスになる。専門家によると、体が冷えると呼吸器の粘膜が損傷しやすくなり、ウイルスの生存時間が延び、繁殖が旺盛になり、鼻腔に入るウイルスが細胞に感染する確率がさらに上がる。この面から言えば、本来なら特に病気を引き起こさないウイルスが気温の低下で弱った体に入ると、風邪の原因になることもある。>>

◆外出時には帽子着用必須か? 新型コロナが髪につく可能性は?

国務院共同対策メカニズムが2月20日、記者会見を開いた。中国疾病予防管理センターの馮録召研究員によると、一般的には、人々は帰宅後、わざわざ頭を洗う、または消毒をする必要はない。人から人への感染には、飛沫に含まれるウイルスの量、ウイルスの活性など一定の条件が必要だ。現在の研究によると、ウイルスは紫外線と熱に敏感で、正常な情況であれば屋外の一般的な仕事場に出た場合、高濃度で活性を持つウイルスが含まれる飛沫が髪につく可能性は非常に低い。日常的に髪を清潔にしていれば良い。>>

◆仕事から帰宅後の服や靴、ウイルスの消毒が必要か?

成都市疾病予防管理センターによると、コートは帰宅後、玄関もしくはベランダの風通しのいい場所にかける。日差しの当たる場所で干せる条件があれば日に当てて干す。日常生活においてコートの消毒処理を行う必要はない。

一方、病院で診察を受けた、患者の見舞いに行った、もしくは疑わしい症状のある人と接触したなど、コートにウイルスがついた可能性がある場合は消毒処理を行う必要がある。

飛沫が地面に落ち、靴底にウイルスが付着する可能性は低く、量も少ないため、明らかにウイルスが付着した場合でなければ、日常的に靴底を消毒する必要はない。>>

「人民網日本語版」2020年2月20日

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