北京地壇病院は5日、新型コロナウイルスが中枢神経系を攻撃することを初めて証明した。また世界初の新型肺炎の脳炎合併患者がこのほど退院したと発表した。羊城晩報が伝えた。
新型肺炎の重篤患者で、脳炎を合併していた許さん(56)がこのほど、首都医科大学付属北京地壇病院で完治し、退院した。北京地壇病院重症医学科、検査科、中国疾病予防・管理センター感染症研究所の共同作業チームは、採取された脳脊髄液のメタゲノミクス次世代シーケンシング及び感染症の病原体の鑑定においてその他の病原体を排除し、SARS-CoV-2ウイルスの遺伝子配列を取得した。
ゲノムシーケンシングにより脳脊髄液に「SARS-CoV-2」が存在することが証明され、ウイルス性脳炎と臨床診断された。同検査は初めて新型コロナウイルスが中枢神経系を攻撃する可能性があることを証明した。同事例に関する報道は世界初となった。
中山大学附属第三病院副院長を務める感染症の専門家である崇雨田氏は取材に対し、「新型コロナウイルス感染により全身のウイルス血症が生じる。このウイルスは主に肺を攻撃するが、症状の進展により心筋損傷、凝血機能異常、腎不全、肝不全などを合併し、複数の臓器がダメージを負ってしまう」と指摘した。
中山大学附属第一、第二、第三病院の20数人の専門家は5日、省内の新型コロナウイルス重篤患者5人の立会診察を行った。これらの重篤患者はいずれも、心臓、肝臓、腎臓などの臓器の損傷を合併していた。そのため新型コロナウイルスが中枢神経系を攻撃することは意外なことではないが、攻撃が直接的であるか間接的であるかについては、さらなる研究で証明する必要がある。
中山大学附属第三病院感染科副科長の林炳亮氏は取材に対し、より詳細に説明した。林氏によると、現在の報道を見ると、北京地壇病院が患者の脳脊髄液から新型コロナウイルスの配列を検出したが、ウイルスが中枢神経系を直接攻撃したのか、血液に入ってから脳膜に入り脳脊髄液から検出されたのかについては、さらなる研究が必要だという。
新型コロナウイルスがある臓器を攻撃する場合、その臓器の細胞にACE2受容体が含まれる必要がある。分かりやすく言えばウイルスは鍵、関連受容体は錠で、鍵と錠が合わなければ細胞の扉を開くことができない。肺が新型コロナウイルスから最も攻撃を受けやすいのはACE2受容体が多いからだ。一部の患者に消化器の症状が出ているが、これもそこにACE2受容体があるからだ。
現在のデータを見ると、脳細胞には関連する受容体が見つかっていない。しかしACE2受容体の他の受容体を通じ入ったかについては定かではない。新型コロナウイルスは新たに発見されたウイルスであり、さらなる研究と認識が必要な多くの未知の領域が残されている。
林氏は、「新型コロナウイルスが中枢神経系に入る可能性は低いはずで、それを恐れる必要はない。患者に意識障害などの関連症状が出た場合、臨床医は必ずこれに注意し、直ちに干渉措置を講じるはずだ」と補足した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年3月6日