日本の国内市場の規模には限界があり、日系企業は海外での事業拡張という主要な方向性を変えるわけにはいかない。日系企業にとって、中国には整ったサプライチェーンと豊富な技術者があり、中国で製造されるミドルクラス・ハイクラス製品のコストパフォーマンスには依然として競争力がある。特に自動車業界はサプライチェーン構築の周期が長く、投資周期も長く、日系メーカーは原則として「現地調達、市場近くで生産、地産地消」の海外戦略を採用する。もしも日系自動車メーカーが中国から撤退するとしたら、移転費用という単純な問題があるだけでなく、自動車産業システム全体および国際分業全体に関わる「一大手術」になる。日系メーカーが生産拠点を中国から移転させることは、何もせずに中国市場を明け渡すことに等しく、中国市場を放棄することにほかならない。
中国は01年に世界貿易機関(WTO)に加盟してから、20年足らずで工業大分類39分類、中分類191分類、小分類525分類を擁する整った工業体系を作り上げ、生産量が世界一の工業製品は200種類を超える。世界の工場である中国は、非常に大きな生産能力と整った産業チェーンを備えるだけでなく、「メイド・イン・チャイナ2025」の旗印の下で成長した華為(ファーウェイ)、中訊軟件、晋華集成、海康威視など一連のハイテク企業が、いろいろな意味で米国と日本にますます大きなプレッシャーを与えるようになった。感染症の打撃を受けた経済環境の中、米国政府の「自国ファースト」の政策が世界規模で蔓延したとしたら、民族主義が台頭して国際分業の調整及び経済グローバル化の流れの逆転を引き起こし、グローバル経済に極めて大きな影響を及ぼす可能性もある。
しかし経済グローバル化の流れは変わることがないだろうし、東アジア地域は目下、世界の製造業ネットワークの中核であり、中日間の産業分業と産業協力は両国産業チェーンの融合レベルをますます高めている。自動車や機械など産業チェーンが複雑な製品の分野で、中日両国の企業には競争も存在するが、イノベーションや品質向上、コスト削減などでは引き続き共存共栄の相互補完関係にあるといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年5月26日