海草藻場(広い面積にわたり生える海草・海藻)は海岸帯の天然の生態障壁だ。海南省文昌市で、研究チームが海草藻場の修復を模索している。多くの海洋生物が生息地、エサを得る場、繁殖の場を取り戻し、海底の「荒れ地」が活力を取り戻している。人民日報が伝えた。
人工移植は現在最も主流の修復方法だが、活着するか否かは外界の生態環境や海草移植時の固定の程度によって左右される。人工栽培の海草が海底に根ざす前に、海流に流されることもある。
模索を繰り返す中で、研究者は陸上の砂漠化対策からインスピレーションを得た。砂漠の「草方格」の作り方に基づき、研究者は「海底土方格」を作った。これは鉄片により方格のサイズを固定すると同時に網を押さえ付け、固まっていない海底沈殿物が動かないようにする。これにより環境の海流を弱め、浮遊物を沈ませ、栄養塩を取得する。海底沈殿物を安定させ、海草を固定する役割を果たす。
研究チームの主要メンバーの一人である陳石泉氏は、取材に対し「海底沈殿物が修復・固定された後、鉄のフレームと網を取り外すことで、次に再利用できる。この手段により修復した海草は成長後、比較的整った斑状を形成する。点から面へと広がり海草藻場になる」と話した。
陳氏は「海草藻場は海岸帯の天然の生態障壁で、マングローブとサンゴ礁の生態系を結ぶ役割を果たしている。広い海草藻場は潮・海流を弱め、海底の安定を維持する。海底沈殿物の固定及び海岸線の維持に対して重要な役割を果たす」と述べた。
海草修復・実験活動が昨年3月末に正式に始まった。海草資源修復チームは昨年5月、同年4月に移植した海草の初のモニタリングを行った。その結果、泰来草の平均活着率は90.42%、海菖蒲は96.88%だった。研究者は9カ月後の4回目のモニタリングで、前者が56.39%のみで、後者が88.75%にのぼることを発見した。
これはどういうことだろうか。海南省が熱帯モンスーン気候に属し、乾季(11月から翌年4月)に高隆湾沖で風が強く波が高くなり、大量の砂が舞い海草修復エリアに入ることが分かった。小ぶりの泰来草は砂に埋もれるが、海菖蒲は大ぶりなため影響が少なかった。
海南省海洋・漁業科学院海洋生態研究所の呉鐘解氏は「これにより水質や沈積物の他に、水の動力も海草藻場の修復に大きな影響を及ぼすという認識が生まれた。今後は開放された水域や、海底沈殿物がサンゴ礁砕屑物の環境において、海菖蒲のような大ぶりな種類を選ぶべきだ」と総括した。
生態研究所は今年3月、海底の面積1ムー(約666.7平米)の実験エリア内で泰来草の平均活着率が56%を上回り、修復エリアの平均カバー率が5%を上回ったと発表した。海菖蒲は前者が89%以上、後者が22%以上。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年6月12日